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石巻NPO日和バックナンバー VOL.026

NPOと行政との協働 ・ 石巻モデルは「課題共有」から「施策提案」へ

今年はNPO法が施行されてから20年。地域にとってNPOは存在感を示すようになり、行政の認識も高まっているとは思いますが、どの自治体でも「NPOとの協働」については思うように進んでいない様子です。
今回は、この情報紙を発行しているネットワーク組織「石巻市NPO連絡会議」が取り組む、NPOと石巻市役所との協働への取り組みについて報告いたします。

増え続けるNPO団体
「石巻市NPO連絡会議」は、石巻市の協働の推進をひとつの大きな目的として、平成26年10月に設立されました。当初は市内64のNPO等公益団体の登録を頂きスタートしましたが、先日、ついに登録団体数が100団体に達しました。
また、石巻市NPO支援オフィスが申請の窓口となり、市が認証する「石巻市市民公益活動団体」への登録数も年々増加しており、昨年度は16団体が新たに登録されました。
この流れは、多くの方が予想していた「震災復興が進むにつれ、NPO等団体数は減少していく」を逆行しています。理由を推測すると、震災を機に震災前から存在した地域の課題が顕在化したこと、また、震災直後の支援団体の活躍が刺激となり、これまでボランティアベースで活動していた有志が、NPO法人や一般社団法人として組織化し、より活発な活動に繋げている、等々が挙げられます。

なぜ「行政とNPOの協働」は必要なのか?
答えは、お互いが補い合い協力して事業を行えば、単独で行うより、効率的、効果的だからです。特に財政が厳しい自治体にとって、専門性の高いNPO(だけでなく民間)への業務委託や共同事業を行うことは行政コスト削減のために必要です。
一方、NPOには現場での活動とともに、その活動を通じて得た知見を基に行政に対し施策提案する役割がある、と言われています。よく「NPOによるアドボカシー」という言い方がされますが、これは行政との協働において、欠かせない要素となります。

NPO連絡会議による施策提案
5月29日、市役所庁議室で開催された市の広聴事業「まちづくり懇談会」にて、連絡会議登録団体の内20団体が「福祉」「子育て」「離半島部のまちづくり」「協働の推進」について、現場の活動をベースにしたNPOならではの提案を行いました。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------「子育て」グループ
提案:子どもの放課後の居場所づくり(児童館・プレーパーク)のためのNPO活用(公募制)
提案団体: 石巻のプレーパークと子どもの遊びを考える会
NPO法人こども∞感ぱにー ・ NPO法人ベビースマイル石巻
NPO法人にじいろクレヨン ・ 放課後こどもクラブBremen ・ チームわたほい

(特非)子どもにやさしいまちづくり     吉川恭平代表理事

提案内容:児童クラブ以外の「子どもの放課後の居場所」を石巻市子どもセンター(らいつ)に加え、蛇田・向陽地区、湊・鹿妻・渡波地区、大街道・釜地区の3箇所への整備を提案する。
子供たちが安心して過ごせる場と同時に、家庭環境に課題のある子供のSOSをキャッチするセーフティネットとしての役割もある。

回答:福祉部子育て支援課・福祉部子ども保育課より

(特非)こども∞感ぱにー  田中雅子代表理事

「子どもの居場所づくり」の整備等については、大変重要な課題であり、今後、整備手法や財源確保を含めて検討し、計画的に取り組むべき事業であると認識している。
地域団体やNPO等との協働により子どもの健全育成を図ることは、大変有益だと考えているので、本市の子育て支援政策の一環として検討していく。

 

「福祉」チーム
提案: 生活困窮者自立支援法における就労準備・家計相談の支援拡充
提案団体: 一般社団法人石巻じちれん・ 認定NPO法人Switch
公益財団法人共生地域創造財団

(公財)共生地域創造財団 多々良言水事務局長

提案内容:生活困窮者からの様々な相談のうち、生活へ直接的に影響する金銭面での課題は、収支のバランスが崩れることで引き起こされる。収入は就労準備、支出を含んだ収支バランスには家計相談、それぞれ二つの専門的な支援事業の新設を提案する。
「労準備支援と家計相談支援を一体的に実施している自治体ほど、事業の成果があがっている」との調査結果が提案の裏付けとなる。

回答:福祉部保護課より
提案内容の実施については、生活の再建や自立に向けた重要な支援策であり、生活保護の手前のセーフティネット機能や自死対策としても大変有効であると認識しているため、早期の実施に向けた手法について検討していく。

「離半島部でのまちづくり」 チーム
提案: 地域自治システム推進委員会(仮称)の設置
提案団体: (一社)ウィーアーワン北上 ・(一社)おしかリンク
(一社)サードステージ ・(一社)ピースボートセンターいしのまき

(一社)おしかリンク 犬塚恵介代表理事

提案内容:牡鹿・雄勝・北上地区に「地域自治システム推進委員会」を設置し、地域リーダーとリーダーに伴走するNPO(集落支援員)による地域自治の中間支援体制を確立することで、地域主体の地域づくりを推進する。
成果として、地域ニーズにあった公共サービスの提供や、費用対効果の高い事業が実現し、多様化する地域課題の解決が図られる。

回答:復興政策部地域協働課より
大変有効な手段だと思われる。現在、先行する河南、山下、桃生地区のモデル事業を評価・検証すると共に新たなエリア展開に向け、地域特性や地域課題の把握、関係団体やその活動内容の情報収集を行っているところである。
今後、本提案を参考に、方向性の決定、目標設定、運営体制の整備、ロードマップ作成等、順次、地域自治システムの構築準備を進めていきたいと考えている。

「協働推進」チーム
提案: 協働推進のための 「石巻NPO見本市」 の開催
提案団体: (一社)Ishinomaki2.0 ・(公社)みらいサポート石巻
(特非)石巻復興支援ネットワーク ・(一社)おしかリンク
(一社)ウィーアーワン北上 ・(一社)ピースボートセンターいしのまき
(特非)いしのまきNPOセンター

(一社)ISHINOMAKI2.0    松村豪太代表理事

提案内容:市内のNPO等市民公益活動団体を一堂に会した「石巻NPO見本市」を開催する。主なる対象者は市役所職員であり、市の業務においてNPOへの委託や共同事業を考えている課の関係者が来場し、同じ課題の解決に取り組むNPOの活動を知り、対話できる機会を作る。
協働のパートナーとなり得る団体の情報を主体的に選べる場を提供することで、NPOとの協働について積極的に考える機会とする。

回答:復興政策部地域協働課より
当課でも行政と市民公益活動団体の相互理解が必要と感じていることから、実施に向けて検討していきたいと考えている。今後、見本市の規模、予算や時期など、必要な事項を整理するための協議が必要となる。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------4つの提案それぞれ、現場で活動する中で見えてきた課題に対応するための提案になっていると思います。
これら提案がすぐに市の施策に反映できる訳ではありませんが、このような対話を一歩一歩積み重ねることが「協働」の実現には大切になると思います。