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石巻NPO日和バックナンバー  Vol.022

「命をつなぐ 未来を拓く」 3.11メモリアルネットワーク

もうすぐ東日本大震災から7年が経ちます。最も被害が大きかった石巻圏域には、今でも被災や復興の状況を知るために、国内外から多くの方が訪れます。震災で多くの方が亡くなった事を忘れず、二度とこのような悲劇が起こらないようにするためには、石巻圏域を訪れる方に体験や教訓を伝え、失ってしまう前に自分事として感じてもらえることが、私たちにできる最大の恩返しではないでしょうか?我々自身がこの場所に生まれ、暮らしてきたことに胸を張って全国の皆さんに伝えていくためにも、個別の団体ではなく、被災地全体でスクラムを組んで取り組んでいくことが必要なのです。

「3.11メモリアルネットワーク」とは

被災者自身がその体験を直に伝える「語り部」などの震災伝承を通じて、自然災害の怖さや防災への取り組み、そして命の大切さを考えてもらうことは、被災地が提供できる貴重な機会であり、被災地の交流人口増加に繋がっています。しかし、復興事業が進み、被災地が平時の状態に戻るにつれ、来訪者の数も減ってきているのが現実です。

石巻地域で活動する伝承団体の受け入れ人数の推移 (大川伝承の会、雄勝花物語、ホテルニューさか井、防災プロジェクト、みらいサポート石巻、石巻観光ボランティア協会)

震災伝承に関する復興予算については、遺構の保存や祈念公園といったハード面の予算は活用されつつありますが、生活再建の優先度が高かったため、語り部やNPOが取り組む伝承活動のようないわゆるソフト面の支援については、これまでバックアップはほとんどありませんでした。震災直後から石巻圏を訪れた多くの方に被災や復興を伝え続けてきた被災者や民間有志の団体は、自助努力で伝承活動を続けてきており、いつまで継続できるか先行きが不透明でした。

「3.11メモリアルネットワーク」は、このような人や団体を結ぶネットワークの形成を目的として、昨年の12月に結成されました。

震災直後から、被災地視察として石巻圏域を訪れる人は増え続け、三陸かほく新報社が事務局を務めるビジターズ産業ネットワークの開始と共に、震災伝承に取り組む個人や団体の連携がスタートしました。正確に被災状況を伝えるために、テキスト作成や研修などを行い、語り部のスキルアップや目標の共有に取り組んできました。約5年半を経てそのネットワークが更に発展し、広報や活動資金の調達も担うことで、命を守り、社会の困難に立ち向かう活力ある人・地域づくりに取り組むという高い目的を掲げた組織として設立しました。

前例のない、被災地広域のネットワーク

3.11メモリアルネットワークは石巻圏域だけでなく、南三陸町、名取市、亘理などの宮城県沿岸被災地や岩手、福島からも参画をいただいています。2月10日現在で、42団体と200名の個人が会員登録していますが、その数は日々増え続けており、前例のない、当事者主体の広域連携組織に成長しつつあります。震災伝承に関わる方々の間で、資金、人材、来訪者数などが先細りしていく危機感のなか「ネットワークができる必然を感じた」という声もいただいており、これまで各々が行ってきたこと、そして将来に於ける重要性が評価されているのだと思います。

3月9日に石巻専修大学で開催予定のシンポジウム「伝える力 地域を超えて 世代を超えて」には、兵庫や中越、広島の著名な方々が講師を快諾してくださり、東北に限らず、災害や戦災を伝える活動を超えた「その先」を見出せるような機会にしたいと考えています。

もうひとつ重要な点は、ネットワークとしての基金を作ったことです。多くの賛同者から寄付を集め基金とし、語り部さんや震災伝承団体の活動、特に若者の活動を資金面からバックアップしていきます。

鈴木典行代表

 鈴木典行代表:大切な命がなくなってしまう、家族が津波で亡くなってしまう…そんな辛い悲しい思いはとても言葉では言い表せません。これから先、もう誰もそんな思いはしてはいけません。震災伝承の継続についての強い想いは、ここから来ています。伝承活動を通じて未来の大事な命を救う。その継続のためには、活動団体や個人が連携しなければならない。そんな想いから、この組織は立ち上がりました。

語り部の活動は継続していくことが大事です。そのためには、私たちの活動を次の若い世代に引き継いでいかないといけない。当時の小学生、中学生は今やっと大人になってきたところです。我々と共に活動することによって、震災伝承の大切さを感じてもらい、人間的にも成長してほしいと願っています。

震災を語り継いでいく、そして、それを聞いた人が「我が事」として考える、これが一番の防災になるのではないでしょうか。石巻圏域だけではなく、県内、岩手、福島の各被災地と連携し、また阪神、中越の被災地や被爆地・広島などからも沢山の事を学びながら、震災伝承の在り方をみんなで考えていきたいと思います。

中川政治理事のコメント

中川政治理事

  3.11メモリアルネットワークには多くの大学生、高校生も参画してくれています。自分の言葉で伝えようと自覚を持って活動する若い世代は、地域の財産でもあります。連携を推進し、仕事として若い世代に活躍してもらうために設置した「3.11メモリアルネットワーク基金」に寄付が集まり始めています。我々は、大人として、社会として、若い世代を支えてゆかなければならないのではないでしょうか。ぜひご協力いただきたく、心からお願いいたします。

7回目の3.11がやってきます。石巻圏域には、また多くの方が訪れるでしょう。このネットワークの、そんな人達に大切な命を守る意義を伝え、未来を拓く力強いメッセージを届けられる存在であって欲しいと思います。