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石巻NPO日和バックナンバー Vol.023

子どもたちの放課後を考える

~放課後児童クラブ・児童館の役割とは?~

「女性が活躍できる社会」の実現を目指し、子育て中のお母さんの就業を後押しするために保育所の待機児童解消の取り組みが進んでいますが、意外と実態が見えないのが小学生の放課後の預け先ではないでしょうか?

日中、保護者が不在になる家庭の小学校1~6年生までの児童が放課後を過ごす場として開設している、放課後児童クラブ。児童クラブの数は年々増え続けていますが、指導員の人手不足は深刻な問題となっており、低賃金や精神的な負担から、短期間での離職や質の低下などが大きな問題となっています。

今回は石巻市日和が丘で民間の児童クラブを運営する「放課後こどもクラブBremen」の寳鈴子代表に、石巻市の児童クラブの現状と課題についてお話を伺いました。

 

 

〇石巻市の児童クラブの現状

「放課後児童クラブ」とは、主に日中、保護者が家庭にいない学童に対して、授業の終了後に適切な遊びや生活の場を与えて、児童の健全な育成を図る保育事業の通称です。学校内の使われていない教室や学校敷地内の施設を使用し、運営しています。各施設に配置されている指導員は一人当たりおよそ14名の児童を見守ります。

現在石巻には46の放課後児童クラブがあり、

139名の指導員、1940名の児童が在籍しています。この10年間で指導員の人数は2倍、児童数は3倍に増えました。そのうち19か所の児童クラブが、定員が上限を満たしているか、超えている状況で、指導員一人ひとりへの負担が大きくなっている状況です。

放課後児童クラブでは、1年生から6年生までの児童が、ひとつの空間の中で遊んだり、宿題をして過ごしています。しかし、大きな教室のみの施設が殆どで、静かに勉強できる部屋もゆっくり休憩できる部屋もありません。また、外で遊べる場所がない施設もあり、児童は狭い室内に閉じこもりがちになります。

〇指導員へのアンケートから見えてきた課題

2月17日、和洋女子大学心理学類教授の田口久美子教授を講師にお招きし、「子どもにとって良い児童クラブ」をテーマに、学習会を開催しました。石巻市内の児童クラブ指導員106名に対して「困っていること・課題」について調査したアンケート結果をもとに話し合いを行いました。

「人手不足のため、負担が大きくなる」「交通費が出ない」など、勤務体制や待遇面に対する不満を抱えている声が多く聞かれました。人手が足りないため休憩時間が取れなかったり、賃金も低いため、自分たちの仕事に対してモチベーションの低下を感じている支援員の方も多いです。

また、指導員間の人間関係に悩んでいる方も多くみられます。専門的な研修を積んでいる指導員とそうでない方の間に考え方の違いがあるため児童への対応が異なったり、そのことが理由で職場での人間関係が不安定になるケースがあるそうです。その他にも、障碍児と健常児の中間に位置する児童への対応、緊急時の対応、学校との連携体制、保護者の対応などについての課題が挙げられました。

児童クラブの指導員は責任のある大変な仕事です。子ども同士のケンカの解決方法や、叱り方ひとつにも知識や経験が必要です。対応方法を間違ってしまうと、その子にとって一生の傷になってしまいます。スキルアップのための研修や、悩みや困りごとを相談できる場が必要だと思われます。子ども達が充実した放課後を過ごせる児童クラブにするためには、指導員さん達が働きやすく、高いモチベーションを保てる環境を用意する必要があるのです。

もっと児童クラブの環境をよくしないと、今の子どもたちが大きくなった10年後の石巻がとても心配です。公立も民間も、みんなで相談し合い一緒に手を取り合って、子どものためになる児童クラブを作っていければいいと思います。

放課後の子ども達の居場所として、児童クラブのほかに「児童館」があります。石巻唯一の児童館「石巻市子どもセンターらいつ」について、スタッフの吉川恭平さんにお話を伺いました。

〇子どもセンターらいつ(以下、らいつ)について、設立の経緯などを教えてください。

吉川:らいつは、石巻市立町にある児童館です。2011年の5月~6月にかけて、(公社)セーブ・ザチルドレン・ジャパン(以下、SCJ)が宮城県、岩手県の子どもたち約一万人にアンケートを取り、90パーセント近い子どもたちが「まちのためになにかしたい」と思っていることが明らかになりました。そこでSCJは同年7月に「石巻市子どもまちづくりクラブ」を発足し、復興に向けたまちづくりを目指して「夢のまちプラン」を作成し、市に提出しました。そのプランの中の色々な想いを1つにし、実現化したのが、らいつです。
地域の方々と連携しながら、子どもたちが企画デザインを行い、2013年12月に完成。SCJから石巻市に寄贈され、現在は石巻市の児童館として運営されています。らいつは乳幼児から中高生までが利用可能で、バスケットをしたり、友達とおしゃべりしたり、自由に過ごすことができます。また、乳幼児親子向けイベントや小学生向けイベント、中高生向けイベントなど、年齢に応じた様々なプログラムもあります。

〇らいつの運営や取り組んでいるプログラムについて教えてください。

吉川:子どもセンターは、子どもの権利を柱に子ども参加で運営される児童館です。子どもが遊ぶことを通して、育つとともに、子どもの声が子どもセンターの事業や運営に活かされ、地域や社会で子どもが力を発揮できる機会をつくることを大切にしています。「石巻市子どもまちづくりクラブ」では、子どもたちが地域の一員としてまちづくりに取り組んでおり、小学校高学年~高校生の約20名のメンバーが関わっています。

今までは「立町商店街マップ」の作成や、震災を風化させないためのモニュメント製作など行ってきました。現在は「水産」と「歴史」の二つのテーマで活動をしており、郷土史家に話を聴いたり、実際に船に乗り、漁を取材するなど子どもたちが取材・調査をして、「水産イベント開催」と「歴史マップづくり」に取り組んでいます。らいつ立ち上げ当初のメンバーだった子どもが現在大学生となり、ファシリテーターとして子どもに関わっています。

子どもセンターの運営や使い方については子どもたちの声を反映する為に、「子ども会議」を行い、小学4年生~高校生までのメンバーが月に1.2回集まり話し合って決めています。会議には誰でも参加でき、それぞれが自由に意見を出し合っています。「自転車の置き方について」「配架する図書や遊具について」など、子どもたち自身が問題に感じたことや話し合いたいことを議題として、らいつをよりよくするために活動しています。また「子ども企画」では、子どもたちの「やってみたい」という気持ちを大切にし、子どもたちがやりたいことを実現することができます。子どもたち自身が企画書を書いて提出し、広報や準備までを行い、企画されたことは子ども会議メンバーが承認を行います。今まで、流しそうめん、やバスケ大会、ボイスパーカッション教室など様々なイベントが子どもたちによって提案・開催されてきました。近々「逃走中」イベントも開催予定です。

〇子どもたちと接するときに心がけていることなどはありますか?

吉川:子どもが自分で考える機会を絶対に奪わないよう心がけています。困ったことに関してサポートはしますが、どうしたいか決めるのは子ども自身にゆだねています。またらいつに遊びに来ているすべての子どもの気持ちを大切にするために、まわりの人との話し合いも大切にしています。

Facebookページとホームページの両方ありますので、詳しくは「石巻市子どもセンターらいつ」で調べてください。