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石巻NPO日和バックナンバー VOL.027

地元の祭りを支え、ひとを育てる・・若手経済人が取り組む「まちづくり」とは?

もうすぐ川開き祭りですね!この一大イベントの運営には市内の様々な公益活動団体が関わっていますが、やはり中心となるのは老舗の二つの団体、石巻青年会議所と石巻商工会議所青年部ですよね。今回は、NPOという言葉が生まれる前から「まちづくり、ひとづくり」を目的として様々な公益事業を行ってきた、この二団体の代表にお話しを伺います。

○ 先ずはお二人の所属する団体について、簡単にご説明ください。
谷川:石巻青年会議所(以下JC)は、1964年創立、今年で54年目になる団体です。日本全国に696の青年会議所があり、約36,000人の方が会員となっています。世界的組織でもあり、125か国に活動拠点があります。石巻JCでは、20歳から40歳までのメンバー72名が6つの委員会に分かれて活動しています。
武山:石巻商工会議所青年部(以下 YEG)は、石巻商工会議所の下部団体になります。1986年に創立、今年で32年目になります。20歳から55歳までの経営者ないし経営を担う若手社員の方76名がメンバーとして活動しています。

○ JCもYEGも各々のミッションのもとに活動されていると思いますが、共同で事業をすることもあるのでしょうか?

谷川海明さん(一般社団法人 石巻青年会議所 平成30年度理事長、渡波 法音寺福住職)

谷川:最近は各団体と連携する事業が多くなってきていますね。先日開催したサンファン祭りも、YEGの方々に協力して頂きました。サンファン祭りは、サン・ファン・バウティスタ号の復元船が進水した日を記念するために始まり、今年で25回目の開催となりました。当初からJCが実行委員会の中心となり、土日二日間のイベントとして運営してきましたが、昨年から前夜祭がなくなり、一日だけの開催になりました。これまでYEGにはブース出店での協力を頂いていましたが、一日に集約されたことで来場者が集中し運営に人が足りなくなったため、昨年から人員の協力も頂いています。

○ 青年経済人の団体が協力し合うと、地域に活気が出ますよね。
武山:そうですね。メンバーは企業経営者が多いので、震災後は自社の復旧に集中して

武山雄樹さん(石巻商工会議所青年部 平成30年度会長、株式会社グローバルダイニング 代表取締役)

いました。その影響で、YEGもJCもメンバーが若干減ってしまいましたのでしたので、今まで以上に力を合わせてやっていくことになりました。他の地域では、JCとYEGが共同で事業を行っている例は稀だと聞いています。様々な団体が連携してひとつの事業を組み立てるのは、経営者でもあるメンバーにとって、大変良い経験になると思っています。
谷川: 武山会長がおっしゃる通り、先ずは自分の会社の復旧、再生をしっかりやらないと、このようなまちづくり活動にも参加できません。メンバーの事情を理解しつつ、お互いの団体の不足した部分を協力して補ってきたのは、被災地・石巻ならではだと思います。
武山:リボーン・アートフェスティバルもそうですが、外から来た方も含め、様々な人、団体が協力して何かを作っていく動きは、ますます活発になるのではないでしょうか。

○ 「まちづくり」活動として、地域のお祭りの運営に長年携わってきた二団体ですが、今年の石巻川開き祭りでは、JCはどんな事業を行うのでしょう?
谷川:川開き祭りの事業としては、大縄引き大会の開催や、神輿パレードの前のお浄めの塩まきをしています。昨年からはエコステーションの協力と、早朝のごみ拾いを行っています。石巻環境保全リーダーの方や石巻専修大の耕人塾の学生達と一緒に、まちなかにエコステーションを何か所か作り、ごみの分別や清掃をしています。
また、今年から新しい事業として「花のある川開き祭りへ~地域の宝で祭りを彩ろう~」というテーマで、浴衣でお祭りに来られた方を対象に、花でできたカチューシャや浴衣に付けられる花飾りを作るワークショップ(一個100円)を開催します。花屋さんを経営するメンバーが、桃生町の特産物である「ガーベラ」をPRし祭りを盛り上げましょうと企画しました。浴衣に花飾りや花のカチューシャを付けてお祭りを歩いたら、絶対インスタ映えしますよ!8月1日10時~16時に、立町のヤマト屋パーキング内に販売ブースを設けますので、ぜひお立ち寄りください!

○ YEGは毎年、お祭り広場を運営していますよね。今年はどちらで開催しますか?
武山:昨年末、橋通りに新しい商工会議所の建物が完成しました。そこの駐車場を利用してお祭り広場をつくり、ステージ、屋台などを設置します。ステージは、地元のダンスチームやバンドなどの発表の場として使っていただければ嬉しいですね。また、新しい商工会議所はスロープが設置してありバリアフリーになっていますので、車いすの方がトイレを利用し易くなっています。

○ YEGが昨年から始めた「ココロの灯り」についても教えてください。
武山:8月11日に震災で犠牲になった方々が故郷に帰ってきたときに、迷わずに帰ってこれるよう、光を灯すことで迎え火として犠牲者の方々を迎えてあげたいという思いで始めました。3.11の追悼イベントを参考に、様々な色の灯篭を並べ、迎え火としてLEDランタン、ルミエムランタンを空に上げました。
昨年は雨が降っていたのですが、参加してくださった方々一人一人の、思いの深さを感じました。これは、ずっと地域に根差して続けていきたい事業の一つだと思っています。
また、全国に450ある青年部の中で、最も素晴らしい事業を表彰する全国大会があるのですが、そこで「ココロの灯り」が日本一に選ばれました。JCを始めとして様々な方と協力して実施したことが、高い評価につながったと聞いています。

○ 次に「ひとづくり」の活動について伺います。 JCは学生向けに「いしのまき政策コンテスト」というイベントを開催していますよね?
谷川:石巻圏域に住む高校生、大学生を対象に、20年後の理想の石巻を実現するため、行政に対して施策提案をする事業です。3年前から開催しており、今年は市の復興政策課の方々と実行委員会を作り、一緒に話し合いながら企画・運営をしています。3~6人で一チームを作り、各グループにはJCメンバーや復興政策課の方がメンター(指導者)となって伴走し、助言したり必要な情報を提供します。市役所の方にアドバイスをもらうことで、より実現可能な政策が作れると思いますし、指導する側も学ぶ必要があるので、メンバーの人材育成にもつながると考えています。
テーマは「私たちが住みたい石巻はこれだ、今どんな政策が必要か考えよう」で、7月29日がキックオフ、10月21日が決勝大会です。今年で三年目の開催になるので、実際に市の施策として採用されるような結果を目指したいですね。

○ 昨年、一昨年の提言の中で印象に残ったものはありますか?
谷川:桃生の田んぼを農業遺産にしようと考えた学生の方がいましたが、自分には全く考えつかない発想だったので驚かされました。桃生はチュニジアとの交流があるので、それも絡めて実現できれば面白いと思い、その方に一票を入れました。

○ YEGでも青年育成事業をされていますか?
武山:一昨年より「ジュニアエコノミーカレッジ」として、起業や会社の作り方を小学生に教える事業を行っています。同じ青年育成事業でも、JCは「政治・行政」の分野、YEGでは「経営・経済」の分野と、それぞれのカラーが出るのは面白いと思いますね。
谷川:JCとYEGの両輪で、同じようなペースで一緒にできれば、すごく効果的な事業になり、地域貢献できると思います。様々な団体と協働しながら地域を作るのは、被災地・石巻ならではのまちづくりのモデルになると思っています。

○それでは最後に、お二人の今後の目標を教えてください。
谷川:「まちづくりは人づくり」とよく言われますが、私はその逆だと思っています。一人一人の力、人間力や発想、それを高めていく事でまちづくりにつながると考えています。特に稼ぐ力が今後の良い地域づくりのために必要になってくると思います。青年会議所の会員は20歳から40歳までと一番若い青年団体ですので、積極的に人材育成を行って、経験できることは若いうちに経験させて頂いて、それをこのまちに返していきたいと思っています。
武山:若い人がこの町に残るには何が必要かといえば、やはり仕事がなければ生活が成り立たない。その仕事をどう確保するかというのが、商工会議所としてはやるべきことだと思っています。しかし、仕事だけで若い人がこのまちに愛着を持てるのかといえば、それは違うと思います。仕事で生活の基盤を整え、生きがいはNPO的な活動で得る・・今の石巻なら両立が可能なのではないかと思うので、若い人にはその魅力をどんどん伝えていきたいと考えています。

JCの谷川理事長、YEGの武山会長、今日はお忙しいところ、ありがとうございました!