コンテンツへスキップ

石巻NPO日和バックナンバー Vol.011

【市とNPOと地域が一緒につくる「子育てしやすいまち」11】

今回の特集は、「子育てしやすいまち・石巻」をつくるための市とNPOの協働について考えてみます。震災により人口流出が加速化した石巻市の将来を考えたとき、子育て世代の定住や流入のため「子育てしやすいまち」としての魅力発信が不可欠になると思います。今日は子育て支援NPOから、お二人の代表の方に来ていただきました。

荒木:NPO法人ベビースマイル石巻の荒木です。マタニティから未就園児の母子に対し、切れ目のない支援を行っています。
柴田:NPO法人にじいろクレヨンの柴田です。震災直後の仮設住宅での子どもの居場所づくりから始まり、民間の児童館運営や復興住宅での子ども子育て支援を行っています。 

石巻市役所福祉部から、道家課長にお越しいただきました。今年度から子育ての担当課は「子ども保育課」と「子育て支援課」に分かれましたね。

道家:「子ども保育課」は、主に保育所や放課後児童クラブ等に関する業務を担い、私が担当する「子育て支援課」は子育て支援策や子育てしやすい環境づくりのための業務を担っています。 

国の施策として「子ども・子育て支援新制度 ※1」が施行され、もうすぐ2年になります。新制度では、自治体による地域の子育て支援拠点の設置が求められています。
道家:石巻市では現在、地域子育て支援拠点事業として、本庁管轄には委託業務を含め4か所と各総合支所6か所、合せて10か所の支援拠点を設置しています。
荒木:市から地域子育て支援拠点事業を受託し、拠点として蛇田の土和田にて「マタニティ・子育てひろば スマイル」を運営しています。
柴田:同じく市からの事業委託で、大街道にある「千の杜学びの」にて子育て拠点「にじいろひろば」を運営しています。
荒木:日々の活動から見えてきた問題として、子育てママが孤立して、子育てを負担に感じてしまう傾向があります。同じような仲間が集う居場所があり、話をすることができれば解決するようなケースが多いように感じます。
柴田:特に転勤族の方は周りに知り合いもいないし、一日中、赤ちゃんと二人きりで孤立したような状態になります。そういった方がうちの施設を調べて、わざわざ来てくれるケースもあります。何度かいらっしゃるうちに同じようなお母さん同士の繋がりが生まれ、初めて来た時より顔つきも穏やかになっていきます。

子育てに関しては、行政とNPOとの協働体制が既にできているように感じます。

道家:平成27年度に「子ども・子育て支援新制度」が施行され、地域子育て支援拠点事業の民間への業務委託が3か所になりましたが、この年の親子教室・遊びのひろばの利用実績は、前年度に比べ一万件ほど増えています。そこは、やはりNPO等民間団体の力によるものと感謝しています。
今年度は、初めて行政とNPO等子育て支援団体との懇談会を開催しました。民間団体が出来ること、行政が出来ることの役割を共有しながら、子育て支援について考えていく場となっています。

「地域で子育てを応援する」ということに関して、石巻市は未だ十分ではないような印象ですが・・

柴田:震災前は「子育てに対して閉鎖的」なイメージがあったかもしれません。しかし、日々の活動を通じて感じるのですが、最近は石巻に対し「子育てがしやすく、繋がる先がある」というイメージを持つお母さんが増えています。そのように地元にプラスのイメージを持った親たちが、将来、我々のような団体を支えるサポーターになってくれるのだと思います。
道家:少子化で子どもの数は減っていますが、児童扶養手当の給付状況から、ひとり親世帯数は横ばいであることがわかります。ひとり親で子育てするのは本当に大変だと思います。地域で子育てを応援する環境が整うと、より子育てしやすくなるだろうなあと思います。

市役所2階にある子育て支援課の窓口には、「子育て世代包括支援センター ※2」の看板が掲げられています。

道家:この事業は、昨年11月からスタートしました。妊娠・出産・子育てに対して切れ目のない支援を行うワンストップ窓口です。就学前を対象として行っている自治体が多いのですが、石巻市では18歳までの子どもとその保護者を対象にしています。
今回、より親しみやすく相談しやすい窓口にするため、「いっしょ・Issyo」という愛称をつけました。子育てに悩んでいる人、困っている人に「いっしょに考え、いっしょに歩んでいくよ」との思いを込めました。どこに相談してよいのか迷っているなら、先ずは「いっしょ・Issyo」に相談してみてください。

荒木:当団体も受託団体として、子育て相談窓口を担っています。親にとっては、幼児期だけでなく、継続して相談できる場があるということは、とても心強く感じると思います。いろいろな支援、サービスがあっても、知らなかったり、使い方が分からなかったりすることも多いので、「いっしょ」では必要な方に的確に繋げられるようにサポートしていきたいですね。

それでは、今後の活動についての抱負をお願いいたします。

荒木:「子育て世代包括支援センター・いっしょ」は、お母さんたちのニーズに対応した支援を紹介していきますが、繋ぎ先のない問題も出てくると思われます。その問題の背景について考え解決できるような、繋ぎ先を自ら作れるような活動にしていきたい。そのためには地域の方々の協力が不可欠です。それが住みやすいまちづくりにもつながると思います。子育てを通じてまちづくりをリードし、皆の力で石巻を元気にしていきたいです。
柴田:一昨年、子どもの権利条約フォーラム石巻の開催に携わりました。子どもにも、何かを創造したり歌ったりといった表現活動の自由が保障されているということを、実践を通じて社会にアピールしていきたい。避難所や仮設住宅で会った子どもたちは、その自由が制限されていた。子どもも一人の人間として尊重させるべき、ということを伝えていきたいですね。
道家:石巻の子育て支援団体の皆さんは、本当に心強いです。子育て支援の第一歩は、お母さん、お父さんをどう支えるかです。親を支えることで子どもに与える影響も変わってきます。NPO等子育て支援団体との協働で、より子育てしやすいまちを目指したいと思います。

年度末のお忙しい中、ご出席ありがとうございました!

 ※1 子ども子育て支援新制度
H24年8月施行の「子ども子育て支援法」では、子育てへの支援給付とともに自治体が主体となった支援事業の実施が定められています。それを基にH27年度から施行された「子ども子育て支援新制度」により、自治体は地域の子育ての実状や支援ニーズを把握し、5ヶ年の事業計画策定と実施が求められるようになりました。

※2 石巻市子育て世代包括支援センター
未来の石巻市を担う子どもたちを安心して産み・育てることができる環境にするため、市役所二階・福祉部子育て支援課内に総合窓口を設置するとともに、ベビースマイル石巻(石巻市蛇田土和田19-11)及び各総合支所においても窓口を設置しました。