コンテンツへスキップ

石巻NPO日和バックナンバー Vol.016

南浜から未来の世代につたえたいこと

東日本大震災の津波により、南浜町は壊滅的な被害を受けました。その名の通り、石巻市の南、太平洋に隣接するこの町は6.9メートルの大津波に襲われ、約1,700軒あった家屋のほとんどが流失、500名余りの方が亡くなりました。非居住地区となったこの地に、2020年度末までに国・宮城県・石巻市が復興祈念公園を協働で整備する予定です。
今日はこの地で震災の記憶を次世代に繋いでいく活動や、市民が集う場をつくる活動を行っている3名にお集まり頂き、南浜町の未来についてお話しを頂きます。

先ずは、それぞれの団体の活動についてお聞かせください。

 

がんばろう!石巻の会 事務局長 黒澤健一さん

黒澤:「がんばろう!石巻の会」で活動しています。震災から一か月後、津波に負けたくない、地域を励ましたいという思いから「がんばろう!石巻」看板を仲間と一緒に作ったのが始まりです。震災伝承の語り部さんや震災学習に訪れた方が集う場として、この看板を活用して頂いています。現在、メンバーは10名で、震災の次の年から毎年3月11日に開催している「東日本大震災 追悼 3.11のつどい」をメインに活動を行っています。

古藤野:「NPO法人こころの森」の代表を務めています

(特非)こころの森 代表理事 古藤野靖さん

。三年ほど前から、日和山や牧山から樹木の種を拾ってきて、南浜町に設置したビニールハウス内で発芽させ、祈念公園に植樹するための苗木を育てています。現在、ハウス内にはマツやモミジ、クヌギなど、10数種類の苗木があります。最終的には南浜エリアに20万本の苗を植樹し、復興の森を造ることを計画しています。現在メンバーは約30名で、種拾いや様々なお手伝いを頂いています。

(公社)みらいサポート石巻 専務理事 中川政治さん

中川:「公益社団法人みらいサポート石巻」で活動しています。「つなぐ 未来の石巻へ」をミッションに、東日本大震災を未来の世代に語り継ぐ活動をしています。震災伝承に関わる人たちのネットワークづくりや「防災まちあるき」の提供、震災伝承施設「中央つなぐ館」と「南浜つなぐ館」の運営を行っています。

 

 

 

黒澤さんと古藤野さんは震災前、南浜町でご商売をされていましたよね。

黒澤:「がんばろう!石巻」の看板を自分の会社があった場所に設置したのは、発災後、徐々にお世話になった方々が犠牲になられたという情報が聞こえてきて、追悼の思いがどんどん強くなってきた、というのが大きな理由です。同時に、門脇、南浜が好きだったので、なんとかこの地を元気づけたいという思いもあり、近くの工場から流出した合板などを使って看板を作りました。

古藤野:昔から門脇に住んでいたので、震災前の景色もよく覚えています。震災直後のガレキだらけの、変わり果てた風景はショックでしたが、祈念公園設置の話が持ち上がった際、門脇、南浜を豊かな自然がある場所に復活させたいと思い、公園の誘致活動に取り組んできました。もともと住んでいた人たちと、外から来た人たちが一緒にこの地で植樹をして森をつくり、震災前より豊かな状態で次世代に繋いでいけたらと思います。

黒澤:震災前、古藤野さんはご自分の会社の社員さんと一緒に、門脇小学校の周辺で毎日清掃活動されていたんですよ!

古藤野:樹木の育成や植樹については全くの素人だったのですが、宮城大や兵庫県立大の先生から学びながら、実践しています。毎日の水やりは大変な仕事ですが、植樹した木が育ち、30年後には美しい森になると思えば、やりがいがありますね。

中川さん、リニューアルした「南浜つなぐ館」について教えてください。

中川:2015年11月から、門脇、南浜のまちの記憶と移り変わりを伝え、震災の記憶を次の世代に繋げるために運営しています。多くの人が訪れる「がんばろう!石巻」看板に隣接しているということもあり、昨年度は1万6000人以上の方が来場しました。震災で大きな被害を受けたこの場所に、伝承施設があることはとても意味のあることだと考えています。震災前に住んでいた方から昔のまちの写真などをご提供

みらいサポート石巻が運営する「南浜つなぐ館」

頂き展示できたのも、この施設が地域の方々が集う場所になっているからだと思っています。

今回のリニューアルでは、震災伝承のためのミニシアターを増設いたしました。行政や企業の助成金や多くの方の寄付を頂きながら運営していますが、なかなか大変です。現在はクラウドファンディングを通じて運営資金のご支援をお願いしています。

今回、国・県・市が整備する「石巻南浜津波復興祈念公園」ですが、NPO団体として皆さんはどのように計画づくりにも関わっているのでしょうか?

古藤野:公園の運営に関して話合いを行っている検討協議会には17の市民団体が所属しており、私が会長を務めています。黒澤君と中川君には副会長をお願いしています。「杜づくり」「伝承」「市民利用」の三つの部会に分かれていて、現在それぞれの部会が多くの市民が集まり、活用できる公園にするための協議を行っています。
南浜での公園整備は、国、県、市そして民間セクター、市民が計画段階から一緒に議論をしています。公園整備の手法としては、日本で初めてのケースになると聞いています。

中川:行政、民間、NPOが協働して、次の世代に繋いでいければと思います。それが石巻らしさだと思いますので、それを象徴する復興祈念公園になってほしいですね。

黒澤:地道に一歩一歩、行政と民間が手を結びながら進まないと多くの市民が集う公園にはならないと思います。公園が完成した後も、この協働の流れを維持したいですね。

古藤野:公園整備に関して、他のNPO団体さんからのご意見やご参加をお待ちしております。例えば、子ども支援の団体さんから遊具が欲しいなどの要望を頂ければ、議題に載せて行きたいと思います。

最後に南浜町がどんな場所・公園に生まれ変わってほしいのか、それぞれ抱負をお聞かせください。

古藤野:次の世代にメッセージを残せる場。木を植えて終わりではなく、自然の循環や人と自然との関わりを学べる場になればいいと思います。

中川:伝承に携わる一人一人の思いが実現する場になればいいと思います。
一生懸命活動を続けてきた人たちの想いがちゃんと伝わる場になるように、外から
来た自分はお手伝いしていきたいと思います。

黒澤:南浜という町があったんだということを思い出せるような公園にしたいです。