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石巻NPO日和バックナンバー Vol.017

所得格差が大きくなるにつれ、生活困窮者が増加しているのは全国的な傾向ですが、特に石巻圏域では震災の影響で、困窮者の問題は複雑化しているように思えます。被災者の生活再建がどんどん進む一方で、復興の流れに乗れず、取り残された人たちも少なくありません。

そのような被災地特有の状況の中、公益財団法人 共生地域創造財団は困りごとを抱えた当事者と共に歩む「伴走型支援」をコンセプトに活動しています。今日は事務局長の多々良 言水(ともみ)さんと石巻事業統括の末永 博さんに、財団が取り組む伴走型支援を中心にお話を伺いました。

今日は宜しくお願いします。先ず財団設立をお聞かせください。立ち上げたのは震災後ですよね?
多々良:2011年3月から支援活動を始めました。当初は、各地で困窮者支援を行っていた「ホームレス支援全国ネットワーク」として、被災者への炊き出しや食料支援を行いました。大都市で日々、ホームレスへの炊き出しを実施していたので、私たちの支援スキルは高かったと思います。その後、被災地での継続的な支援のため、二つの生協が加わり、同年11月に財団というかたちで法人格を取得しました。

NPO法人や社団法人ではなく、財団法人として支援団体を立ち上げるのは、めずらしいのではないでしょうか。
多々良:当財団は構成団体である生活クラブ、グリーンコープ両生協の組合員の皆さんから、多くの寄付を頂き活動しています。資金の流れの透明性を高めるため、一般財団法人を選びました。その後、公益財団法人(※)となったことで、寄付する方が税制優遇を受けることが出来るようになりました。

 

活動エリアも幅広いですね。
多々良:岩手は大槌町と大船渡市、宮城は石巻の他に亘理町でも農業法人への支援活動等を行っています。福島では地産品振興や植樹を支援しています。

石巻での支援活動を開始したのは、いつ頃からですか?
多々良:2013年3月に、牡鹿半島蛤浜のカキ漁師さんに就労支援対象者を受け入れてもらい、収穫したカキを生協へ流通させる取り組みを始めました。本格的に石巻市で困窮者支援を開始したのは、2016年4月からです。震災から5年経過し、インフラもほぼ復旧、被災者の生活再建も進んだように見え、一区切りということで、外から来た支援団体は撤退するところも出てきましたよね。しかし、震災の被災者の再建が進むほど、生活困窮者の存在が見えてきました。震災に起因するものなのか、震災前の問題が顕在化してきたのか、わからない部分もあるのですが、支援が必要な事は確かです。

末永:この時期に、私が石巻での事業の統括として加わりました。その前はセカンドハーベスト・ジャパン等のフードバンク活動団体に所属し、被災者への食糧提供支援を行っていました。

「フードバンク」というのは、スーパー等と協力しながら、賞味期限間近で廃棄対象になっているけど品質に問題がない食品を、困窮者に提供する仕組みですよね?
末永:そうですね。私としてはとても大事な活動だと考えていますので、当財団に移ってからも、事業として継続しています。困窮者へ食料を提供することは、あくまでも支援の入り口で、それをきっかけに身の回りの話を聞くことで、生活困窮の背後にある問題の根本が見えてきます。現状の聞き取りや相談を受けて、問題を明らかにし、支援メニューを考えていきます。

なるほど、そこから財団が掲げる「伴走型支援」へ繋がるのですね。
末永:伴走型支援とは、生活再建や社会復帰を目指す人に、支援者が当事者に対し一対一で支援を行うことです。フードバンクを活用した食料の提供支援をきっかけに、家計相談、就労支援などを当事者と対峙しながら実施しています。

多々良:生活困窮には二つの要因があると思います。ひとつは経済的な問題そのもの、もう一つは社会的に孤立してしまうという問題です。親兄弟や親戚に頼ることが出来ず、地域コミュニティとの関係も希薄で、誰にも助けを求める事ができないのです。

末永:困窮の背後にある事情は様々で、ひとりの困窮者が複合的に問題を抱えています。我々の団体だけでは解決には至らないし、画一的な行政の支援では、カバーできない部分も多い。しかし、石巻市内にはたくさんのNPO、公益団体があり、それぞれ専門性を持って活動しているので、そのような団体と連携することで解決を図ります。市内で多くのNPOが様々な分野で活動していることは、ひとつの社会資源といえますよね。

今年度、石巻市からの委託事業として、仮設住宅にお住まいの方への支援事業も開始しましたよね?
末永:仮設住宅を出た後、自立生活ができるように支援していきます。これから仮設の集約や撤去が本格化しますが、仮設を出た後の生活が見通せない方がたくさんいらっしゃいます。これも伴走型で、一人ひとりの事情に寄り添いながら、行政や他団体と連携した息の長い支援が必要になると思います。

多々良:石巻での困窮者支援に注力するため、来月には名取市にある団体本部を、こちらに移転する予定です。それだけ、今後の仮設撤去に伴う困窮者の増加に対し、危機感を感じているのです。行政もNPOも一丸となって取り組まないと、私は仙台から通勤することになりますが・・(笑)

共生地域創造財団

団体としての覚悟を感じますね!復興が進むにつれ、撤退する団体が増えていく中での石巻
移転、一市民として、頼もしく思います。生活困窮者の問題は概して見えにくいのですが、私たちも自分の身近な問題として捉え、行動しなければなりませんね。多々良さん、末永さん、今日はありがとうございました!

 ※ 公益財団法人

財団法人は、特定の個人や企業などから拠出された基本財産で設立され、これによる運用益である金利などを資金として活動する法人。

その中で、法律に基づいて公益性を認定された財団が公益財団法人であり、この法人に一定の要件を満たす寄附をした場合、寄付者は税額控除を受けることができる。