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石巻NPO日和バックナンバー Vol.018

石巻の子ども食堂事情

~地域でつくる子どもたちの居場所~

近年の経済格差が原因で、国内では子どもの7人に1人が貧困状態にあると言われています。その対策の一つとして、「子ども食堂」という取組みが全国各地で広まっています。
東京の青果店が2012年、子どもや1人暮らしの高齢者らに300円から500円の食事を提供したのが始まりとされ、同じような取組みが次第に全国に広まりました。

〇石巻市では、子どもの不登校や学習支援に取り組むNPO法人TEDICが、2015年11月から子ども食堂の運営を始めました。TEDICの門馬さん「ていざんこども食堂」についてお願いします。

門馬:私たちは、2015年の当時、市内の様々な学校で放課後の学習支援に関わらせて頂いていました。その中で、「実は夕ご飯を食べていない」という話しや、「給食しか食べるものがないんだ」とつぶやく子どもに、少なからず出会うことがありました。 そんなとき他県のフォーラムで子ども食堂の取り組みを聞く機会がありました。
地域の子どもたちが、地域の大人と一緒に夕ご飯を食べるという取り組み。そこには、いわゆる貧困や不登校でなくても、どんな子どもも、困りごとを抱えることがあるということや、誰かに相談したいのに頼れる人がいないということが起こりうるかもしれない状況が問題意識の根底にありました。つまり、子どもたちにとって子ども食堂は、家庭でも学校でもなく、頼ることができる大人や他者との繋がりが生まれる仕組みだということです。この取り組みを、例えば小学校区で続けて行く中で、もしかしたら夜寂しく1人でご飯を食べる子を1人でも支えられるような、そんな素敵な繋がりが生まれるのではと思いました。

同じ頃、貞山小学校では校区協働教育推進協議会が立ち上がりました。貞山地区では、地域住民のみなさんが長年、強い思いをもって、地域づくり・地域自治に取り組まれてきました。地域を愛する住民の皆さんは、何より「地域の子どもたちは、地域で育てる」という素敵な願いをもっていらっしゃいました。私もこの推進協議会の委員をしていましたが、この地域住民の皆さんの子どもたちへの思いを、貞山地区で子ども食堂を実施することで伝えることができるんじゃないか。貞山なら、地域の子どもたちが、何か困った時に、いつでも頼ることができる、そんな地域になっていくのではと思って、スタートしました。

〇石巻ではTEDICも含め、4つの団体が子ども食堂を運営していますが、どういった思いで始めたか教えてください。

成田: 震災後、たいへんな思いをしている人がたくさんいる中で、苦しみや悲しみを抱えた子ども達はいったいどうなってしまうんだろう、何かできることはないだろうかと思っていたところ、市内で開催されている子ども食堂の話を聞きました。私としては、いつか子ども支援をしたいとずっと考えていたので、子ども食堂は、今、自分にできる、地域に必要な支援だと思い、「地域からさみしいをなくそう!」を合言葉に、仲間を集め「かづま地域こども食堂」を始めました。

困窮家庭で十分な食事を取れていなかったり、片親世帯で晩ごはんは子どもだけなど、そういった状況にある子どもも少なからずいることを聞いています。そのような子どもと地域の大人との交流の場として、気軽に立ち寄れる第三の居場所になれるよう活動していきたいと思っています。

〇菅野さん、「地域食堂 渡波たべらいん」について教えてください。

菅野:普段はワタママ食堂という、主に高齢者の弁当の配食を行っています。そのなかで仮設住宅の方などの、孤食の現状を目の当たりにしてきました。仮設から復興公営住宅に移られても同じように1人暮らしの方が多く、地元の方と交流するための手段を考えたところ、一緒にご飯を食べるのが一番だと思いました。

もう一つは、子どもたちも孤食になっている現実を知ったので、それならば子どもから高齢者まで一緒に食べる機会をもったらいいのではと思い「渡波たべらいん」という名前で、実行委員会を作り、地域食堂という名前で始めました。

現在は毎週基本土曜日(行事の際は金曜日)で子ども食堂を運営しており、地域の高齢者も含め20人から30人の方が集っています。地域で子どもたちを見守り、フォローしていくということもできればいいなと思っています。また、次の目標は地域や大人との交流です。お年寄りとのふれあいの中で、宿題や昔遊びなどもっともっと交流・絆を深めていければと思います。

〇コスモス子ども食堂の原田さんお願いします。

原田:BIG UP石巻は震災直後、在宅被災者の方々の支援を目的に立ち上げた団体です。そこで地域活動ができるような公民館に代わる場所を作ったのが「コスモスの家」です。

徐々に地域の方々がどんどん来てくださるようになり、その中で一番の利用者は子どもでした。僕自身も両親が共働きで、子どもの頃兄弟だけでご飯を食べたりすることもあったので、こういう場所でご飯が提供できるような形だったら子どもも親も助かるのではないかと思いました。

こども食堂としては去年4月から行っていて、毎月第三金曜日に開催しています。やろうう熱意と、(石巻?)専修大の学生さんに運営を手伝ってもらいながら、継続しています。今年10月のコスモスの家解体に伴い、今後は
双葉町の本草園会館で継続して開催していく予定です。コスモスの家のときから、毎月楽しみにしてくれる子どもたちもたくさんいるので、ずっと続けていきたいですね。

〇門馬さんは石巻で最初のこども食堂を立ち上げましたが、地域の反応はいかがでしたか?

門馬:一番最初に開催したときは、50人近くの地域の子どもたちと、15人近くの住民さんが参加してくださいました。実際に地域の子どもたちが集まってくる中で、僕たち以上に地域住民の皆さんが、子どもたちの声に耳を傾けてくださり、理解してくださる様子が印象的でした。ていざん子ども食堂は、NPO法人TEDICが主催という形になっていますが、その実態は地域住民の皆さんが、運営のほとんどを担ってくださっています。もちろん、学校の先生方や保護者の皆さん、大学生ボランティアの力も本当に大きいですが、やはり地域の力だなぁと。純粋に、本当に素敵な地域だなぁと感じました。

〇コスモス子ども食堂さんに集う方々は、どのような変化がありましたか?

原田:ボランティアとして食堂を手伝ってみたいという問い合わせや、子ども支援をしたくてもチャンスがなかった方々にとって、活躍の場を提供できました。これは想定外で、嬉しいところでしたね。

〇子ども食堂の運営資金はどうしているのですか?

成田:ワタママさんにも食材?をご協力して頂いたり、食材提供のお願いのチラシを配布すると、地域の方が持ってきてくれたりしてくれます。うちは全て無料で、今のところ様々な団体、個人の方からの善意の寄付で成り立っています。

菅野:今年度は助成金を活用し運営しています。今後、活動を継続していくためには資金面は課題の一つになります。引き続き、助成金や支援者の方々のご寄付が必要になってくると思っています。

〇今後、地域で子ども食堂をつくりたいという方々に、アドバイスなどありますか?

門馬:なんで子ども食堂をやりたいと思ったのか?その問いを考えたときに浮かぶ顔がきっとそこにはあるんだろうと思います。その顔を思い浮かべたときに、その子どもが求めるものを考えた時、ヒントは見つかるのではと思います。
それはご飯を一緒に食べることではなくて、一緒に本を読んでくれる大人を探しているのかもしれないし、陽が沈むまで一緒にブランコをこいでくれる大人なのかもしれないし、そこにすごくヒントがあるんじゃないかなという気がします。

〇一緒にご飯を食べることをきっかけに関係性が深くなり、様々な問題を解決していけるのが特徴なんでしょうか?

門馬:そうですね。様々な理由で養育環境に恵まれずに、1人でご飯を食べていたり、あるいは食べられない子がいるのですが、その子たちを月に一回、週に一回の子ども食堂で支えられるかといったら、やっぱり難しいと思います。

月に1回の子ども食堂をきっかけに、日常の中で子どもたちを支えるような、そんな地域の営みが生まれていくことこそ、本質的な意味だと思っています。

そう考えたときに、子ども食堂のストロングポイントは「場」だと思うんですよね。「食」だから子ども食堂だというよりは、「場」の強さを「食」を通じて作っているというただそれだけだと思います。

それが遊びであろうとスポーツであろうと、何でもいいと思っているので、皆さんがそれぞれ得意なことを生かして「場づくり」をしてもらうのが一番かなと思っています。

〇ご出席の皆さま、ありがとうございました。ボランティアを募集されている団体さんもいますので、気になった方はぜひお問合せ下さい。

(参加者)写真右から
●貞山地区 ていざんこども食堂
特定非営利活動法人TEDIC 代表理事 門馬優さん

●釜・大街道地区 コスモス子ども食堂
一般社団法人 BIG UP石巻 代表理事 原田豊さん

●渡波の地域食堂・渡波たべらいん
一般社団法人ワタママスマイル 代表理事 菅野芳春さん

●かづま地域こども食堂
成田昌生さん