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石巻NPO日和バックナンバー Vol.025

石巻流おもてなしで、観光振興を!

いよいよ観光シーズン到来ですね!ゴールデンウィークには、石巻圏域にもたくさんの観光客が訪れました。決して有名な観光地ではありませんが、石巻圏域には地元で生活する私たちが気付かない観光資源がたくさんあり、隠れた魅力があるようです。今回はそんな魅力を発見し、外に発信している2つの団体からゲストをお招きしました。

先ずは、それぞれの団体の設立経緯を教えてください。

齋藤敏子さん:平成8年は宮城県慶長使節船ミュージアムがオープンし、宮城国体があった年でしたが、当時の石巻には町を案内する観光ボランティアがいませんでした。そこで市がボランティアガイドを募り、石巻の歴史文化などを学ぶ研修会を開催。その研修を受講したメンバー約30名で観光ボランティア協会を立ち上げました。
先ずは、石巻駅前にて駅頭案内を始めました。これは現在でもずっと続けている活動で、GW、川開き、お盆といった観光客が増える時期に、駅前にテントを張って案内所を設け、訪れた人たちに観光パンフレットを配ったり、石巻の見どころやおいしい食べ物などを紹介しています。

石巻観光ボランティア協会 会長・齋藤敏子さん

しだいに、川開きや大漁祭りのようなイベントにお手伝いとして関わるようにもなりました。その後は自分たちでツアーを企画し、石巻の魅力を知ってもらうため、おもてなしツアー、石巻の伝統文化を知るツアー、スイーツツアーなど、その都度参加された方々にアンケートを取りながら様々なツアーを開催してきました。
そうして活動を行っていたところ、平成23年に東日本大震災が発生。一時は休会も考えましたが、震災から約一か月後、会員で一度集まりました。その際に「日和山公園に他県から被災状況を見に来ている人たちが多い」という話を聞き、実際に足を運んでみると、献花や線香などで汚れており、まずは清掃ボランティアをすることとして日和山にテントを立てました。

掃除をしていると、訪れた方々に震災時の様子や、現在の石巻のことなどを聞かれるようになり、徐々に「一緒にバスに乗って、被災地を案内してもらえないか」という要望もでてくるようになりました。そこで、コースや内容などもみんなで話し合いながら「東日本大震災まなびの案内」をスタートしました。県外の方や修学旅行生などを対象に、ボランティアガイドがバスに同乗して石巻市内中心部~南浜・門脇地区~石巻魚市場周辺など、被害の大きかった地区を訪れ、震災当時の様子を説明したり復興の状況を現場で見てもらうことで、防災意識を高め「命の大切さ」を感じてしてもらうために語り伝えていくものです。

震災後休止していた「おもてなしツアー」も昨年の7月から再開しました。これからも石巻の魅力を全国の方にお伝えしていきたいと思っています。

斉藤雄一郎さん:石巻市、東松島市、女川町は震災の影響と少子高齢化により、人口減少が著しい。そこで、交流人口を増やすため二市一町が連携して観光客を呼び込み、圏域で楽しんでもらい、お金を使っていただく流れをつくるという目的で、去年の4月、石巻圏観光推進機構(石巻圏DMO)が設立しました。

一般社団法人 石巻圏観光推進機構  業務執行理事・斉藤雄一郎さん

先ずは、観光戦略を練るためのアンケート調査を実施しました。調査結果を精査し、「海に育まれた豊かな文化と生業が織りなす変わらない懐かしさといつも新しい驚き・発見がここにある。」というビジョンを掲げました。自然資源がこの土地の豊かさの本質ではなく、紡がれてきた歴史や産業、まちの景観などの生活文化こそが価値であり、震災を乗り越えた人々の力こそが、この地域の価値を次世代につないでいくことを可能にします。都市圏から訪れる人にとっては昔の風景のように懐かしく、しかし、いつでも新しいチャレンジを通じて季節ごと、場所ごとにその顔を変える驚きを提供できる土地であることで、何度でも訪れる価値のある観光地になることを目指し、このようなビジョンを策定しました。

また、キャッチコピーは「こころに刺さる旅をしよう」としました。「なにかがある土地です」という訴求ではなく、「旅」の本質にこの土地で触れませんか、というメッセージです。「刺さる」という、ポジティブにもネガティブにもいずれにも使えるワードを使うことで見る人にインパクトを与えるとともに、ありきたりの予定調和の観光や感動だけではなく、世代や興味関心の方向性が異なる人それぞれに対して、予想外の衝撃を与える、という意図を伝えたいと思います。

昨年度末に旅行業の認可も取得したので、独自の旅行商品の開発、販売もできます。石巻圏域各地で様々なプログラムを行っているプレイヤーの方を繋ぎ、一つのパッケージとしてPRしていきたいと思います。

DMOが最近始めた「海街ライド」や、Webサイト「海街さんぽ」について教えてください。

斉藤雄一郎さん:「ツール・ド・東北」では、全国から約4,000人の方が石巻圏域を訪れます。それを地域住民の方が民泊を含め、様々なおもてなしをしながら受け入れていることで、サイクルツーリズムの環境が少しずつ整ってきています。そこで、イベント時だけでなく通年での自転車観光を推進するため、4月より「海街ライド」と称したレンタサイクル事業をスタートしました。石巻で借りて女川まで乗っていっても、最寄りの「レンタサイクル・ターミナル」で返却できるようになっています。また、圏域の商店や宿泊施設などにご協力いただき、「サイクルステーション」としてサイクリストの方々が気軽に立ち寄り、休憩できるスペースも提供しています。
「海街さんぽ」へのアクセス数は順調に増えています。ホームページだけではなくFacebookとTwitterを使って、どんどん地域の情報を発信するようにしています。

観光ボランティア協会は、観光客の方と直接お話する機会が多いですよね。

齋藤敏子さん:私たちもお客さんからの質問にしっかり答えられるよう、情報を把握するように心がけています。連休中は田代島に多くの観光客が訪れました。「ネコの島」としての知名度は地元の私たちが考えている以上に高く、ネコ好きの方が大勢訪れたようです。
観光客の方々に正確な情報をお伝えできるよう、私たちも日々、石巻の情報把握や歴史の研修会など行っております。

石巻は松島のような有名な観光地ではないので、人を呼び込む難しさがあると思うのですが・・・

齋藤敏子さん: 大事なのは、遊び心だと思います。楽しいもの・面白いものを作らないとメディアにも取り上げてもらえません。また、石巻にはいろいろな歴史もあります。「飯田口説(はんだくどき)」という北上方面に代々受け継がれている悲恋の物語や、今年戊辰戦争150周年にあたり、石巻との歴史の関わりなど、それぞれの場所に物語があり、それが観光資源になりうるのです。

斉藤雄一郎さん:特に海外の方が顕著なのですが、賑やかな観光名所に行くより、地域の方との交流や文化、生活の体験ができる旅のニーズが高まっています。石巻圏域にはそのようなニーズに対応できる魅力が十分にありますので、そこをうまく伝えていけたら…と思っています。また、仙台市が国際的な会議、学会の誘致を積極的に行っていますので、そこを訪れた方が石巻圏域へエクスカーション(小旅行)として来てもらえるよう工夫していきたいですね。

観光客の受入に関し、まだまだ課題も多いと思います。
斉藤雄一郎さん:石巻を訪れた方へのアンケートで、観光評価の「重要度が高いが満足度が低い」項目を見ると、「お土産になるような物産品の品ぞろえが少ない」「エリア内での楽しみ方、イベントなどの内容が弱い」という回答が少なくありませんでした。

齋藤敏子さん:石巻に来た方の多くは、お土産に鮮魚を買って帰りたいと思っていますが、売っているところは少ないですよね。「みなとまち」のイメージとのギャップが生まれるようです。また、駅から降りるとすぐ海だと思っている観光客も多く、電車で来た人たちにとっては海までの交通の便が良くありません。2次交通は大きな課題です。

最後に、石巻圏域の観光活性化のために、これからどんなことが必要かお聞かせください。

齋藤敏子さん:圏域には観光振興に携わる団体、組織が数多くあります。みんな「来てもらいたい」「見てもらいたい」という思いは同じだと思いますが、それぞれがバラバラに動いているように見えます。みんなでアイディアを出し合い、意見交換できる機会を設ければ、本当に魅力ある観光コースができるのではないでしょうか?一年に一回でいいから、そのような場があるといいですね。

そしてもう一つ。私たちの事務所があった石巻駅前の「ろまん海遊21」が解体されることでなり、未だ新しい活動拠点が定まっていない状態です。駅前に観光案内所がないのは、石巻を訪れる方に対する「おもてなし」の心が欠けていますよね。私たちの新しい拠点は駅前に!と強く思っています。