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石巻NPO日和バックナンバー Vol.028

NPOが連携して取り組む、放課後の居場所づくり
石巻市の子ども子育て支援施策について、乳幼児期に利用できる公的施設は充実していますが、小学生以上の子どもたちが自由に利用できる施設が極めて少ないと指摘されています。児童館※は石巻市立町にある「子どもセンターらいつ」1か所のみで、それ以外の地区では放課後児童クラブに所属していない子どものために、NPOがプレーパークや子ども食堂等の居場所づくりに取り組んでいます。
今回は、そんな子ども支援団体のネットワーク「石巻のプレーパークと子どもの遊びを考える会」から、「NPO法人 子どもにやさしいまちづくり」の吉川さん、「一般社団法人 プレーワーカーズ」廣川さん、そして、フリーランスとして活動する塩田さんにお越しいただき、子ども達の遊び場・居場所づくりについてお話を伺いました。

※ 児童館・・・児童福祉法の理念に基づき、18歳未満のすべての子どもを対象として、遊び及び生活の援助と地域における子育て支援を行う児童福祉施設。専門の指導員(児童厚生員)によって、児童各々の発達や地域の実情に応じた取組みが行われている。

(特非)子どもにやさしいまちづくり 代表理事 吉川恭平さん

○ 先ずは、皆さんの団体の活動について教えてください。
吉川:市の指定管理者として、NPO法人ベビースマイル石巻と共に、子どもセンターらいつの運営を行っています。らいつは「子どもの権利」を柱に子ども参加で運営している、市内唯一の児童館で、0~18歳までの子どもとその保護者が自由に利用することができます。子どもたちの主体性を大事にしており、毎月一回集まって施設の利用方法を話し合う「子ども会議」や、まちづくりについて考え、主体的に活動する「こどもまちづくりクラブ」という場を設け、2017年度は、水産をテーマにしたイベントや、地域の歴史を冊子にまとめて観光客に配布するプロジェクトを行いました。

一般社団法人プレーワーカーズ 理事・統括マネージャー 廣川和紀さん

廣川:一般社団法人プレーワーカーズは、東京のNPO法人 日本冒険遊び場づくり協会が前身で、全国各地のプレーパーク活動の中間支援をしている組織でした。震災直後、被災地の子ども達が遊ぶ場を失ったことから、「プレーカー」という遊び道具を積んだ軽自動車を使って支援活動を始めました。被災した方は本当に大変な時期でしたが、子どもだけでも明るく元気に遊べるような場所を、仮設住宅や学校などでつくってきました。現在は、石巻市内の子ども支援団体と連携しながら、遊び場・居場所づくりの活動をしています。

塩田:今年4月まで、廣川さんと同じプレーワーカーズで活動していましたが、今はフリーランスとして子どもたちの遊び場作りに関わっています。現在、自分が伴走役として、水明町の河川敷で「OGASU村」というイベントを開催しています。住吉中学校3年生の子たちが主体的に取り組んだ遊び場で、今年で3年目になります。木造のウォータースラーダーを作ったり、竹や材木で家づくりをしたり、子どもに主体性を持たせ、子どもの声を聞きながら進めてきました。

塩田大介さん

○ 「石巻のプレーパークと子どもの遊びを考える会」について、どのような経緯で立ち上がった団体なのか教えてください。
吉川:昨年5月にらいつで行われた「子ども×おとな×市役所 意見交換会」の中で、子どもたちから「石巻に遊び場を増やしてほしい」という意見が出ました。その声を真摯に捉え、遊び場に関わる大人たちで実現するため、私たちと「NPO法人 こども∞感ぱにー」代表理事の田中雅子さんを加えた4人が発起人となり、立ち上がった団体です。
実際に遊び場・居場所づくりの先進地に視察に行ったり、中央公民館などで地域の方々、行政職員、乳幼児親子からお年寄りまで様々な方に集まって頂き、座談会として意見交換する場を設けたりといった活動を通じて、石巻の子どもたちに必要な遊び場・居場所を考えています。

○ 「遊び場・居場所づくりの先進地」として、どちらに視察に行かれましたか?
廣川:東京都武蔵野市と、埼玉県朝霞市を訪問しました。朝霞市では、米軍基地跡地の活用を住民と行政が話し合う中で、地域のお母さんたちと行政との繋がりができ、現在は市の委託業務としてプレーパークが運営されています。武蔵野市では、まちづくり計画の中で市の主導でプレーパークを作ろうという動きがあり、そこから運営を担う民間団体が作られたそうです。

吉川:行政、地域住民、NPOの三者で子どもたちの居場所を作っていくためには、どうしたらいいかを学びたいと思っていたので、とても参考になりましたよ。

○ 地域の方を交えた座談会では、どのような意見が出ましたか?
塩田:座談会には石巻市役所都市計画課の公園担当の方にも参加頂きました。その中で、お母さんたちから「禁止事項の看板があるから、公園を使いにくい」という意見がでました。市の担当者の回答は、「自分たちも公園を自由に使ってもらいたいが、地域住民の方から話があって、町内会の会長さんなどと相談しながら禁止事項を決めている。市役所としては、住民としっかり向き合って対応する必要があるのです」ということでした。
子どものいる住民は出来るだけ自由に公園を使いたい、でも一方で、禁止事項を必要とする住民の方もいるし、市もそれを尊重しなければならない・・・座談会に参加頂いたお母さんたちには、その辺の難しさや行政の立場を理解いただけたと思います。

○ まちづくり懇談会について
吉川:5月に開催された「まちづくり懇談会」で、住民の方と一緒に考えてきたことや、視察の中で学んできたことを整理し、子どもの放課後の居場所づくりのための NPO 活用(公募制) として、市内の蛇田・向陽地区、釜・大街道地区、渡波・鹿妻地区の3か所に、放課後の子どもの居場所を整備してはどうかという提案をさせて頂きました。復興公営住宅の建設やコミュニティの再編により子どもの数や環境が大幅に変わった地域がある中で、子どもをコミュニティの核にしながら地域をつくっていくために、子どもの居場所が必要という考え方です。僕たちとしては提案だけで終わりではなく、どのようにすれば実現できるかという事をこの一年の中で考えて行動に起こしていけたらと思います。

○ 理想とするプレーパークの在り方について、教えてください。
吉川:子どもの居場所にはいろいろな形があると思いますが、大事なのは、そこに子どもの声を受け止める大人がいることだと思います。コーディネーターになるような大人がいることで、子どもたちの声を受け止め、また子どもたちの声と地域の大人の方の声を繋ぐことができると思うので、そのような形で子どもを見守る大人がいる居場所・遊び場というのが理想ですね。

廣川:子どもが自由にのびのびと遊べる場所を、たくさん作っていきたいです。子どもたちにとって外での遊び、山や川など自然の中で遊ぶことは日常的なことだったと思いますが、それが今、様々な要因で途切れてしまったと感じています。プレーパークを通じて、そういう場所を違う形でたくさん作っていきたいと思っています。
ただ、簡単ではないし時間もかかりますので、先ずはモデルケースとして作ってみて、それを広げていく動きにしていければと思います。

塩田:私たちが「これが正しい遊び場で、子どもたちにとっていい居場所だよ」と示すのではなく、あくまでも住民の方たちと一緒に考えたいと思っています。私たちが絶対的な答えを持っている訳ではないので、子どものこと考えている住民の方たちとうまく繋がり、一緒に考え共に作っていく、それを目指しているのが「石巻のプレーパークと子どもの遊びを考える会」だと考えています。

○ 吉川さん、廣川さん、塩田さん、今日はありがとうございました!