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いしのまきNPO日和 Vol.002

石巻圏のNPO ~被災者支援型から地域課題解決型へ

最近、国内で大きな災害が発生する度に「NPO」という言葉を聞く機会が増えた、という方は多いと思います。5年前の東日本大震災の時も、発災直後からNPOの活動について多くの報道がなされ、今回の熊本地震の被災地でもNPOなどの団体が復旧作業の一翼を担っています。

平成7年に発生した阪神・淡路大震災の時に、全国から多くの市民ボランティアが集まり被災者支援に活躍したことから「ボランティア元年」とも呼ばれています。ボランティアとは、自己を犠牲にして弱者を助ける人たちの活動というイメージを持ちがちですが、阪神淡路の被災地にやって来た人の多くは「普通の市民」でした。しかし、個々人の活動では限界があることが明らかになり、その反省から、ボランティア団体や市民活動団体の活動を促進するために「特定非営利活動促進法(通称NPO法)」が平成10年に制定され、その後の日本社会におけるNPOの活躍が期待されました。

NPOというと災害ボランティアというイメージを持つ方が多いのは、このような経緯があるからだと思います。被災者支援に限らず、NPOとは行政では取り組みにくい課題解決に繋がる活動やサービスを提供している組織をいいます。ボランティアのみで活動している訳ではなく、組織内には、普通の企業のように給料を貰いながら働くスタッフがおり、事業や経営にアドバイスを行う理事・役員などもいます。大きな違いは、企業は得た利益を出資者に還元するのに対し、NPOは組織の社会的使命の実現が優先され、得た利益は事業へ再投資しかできないということです。

東日本大震災では都市部に被害が集中した阪神・淡路大震災と違い、被害が広域に拡散したこともあり、行政のみで復旧、復興を主導することに限界があったためNPOなどの民間の力が活躍しました。行政の手が回らない部分、足りない部分をNPOが担い、その活動のために行政からの委託や民間の助成金などを活用し、きめ細かいサービスを提供できた事例も多く見受けられました。事業や経理面において不正や不透明がないように、NPOには事業内容や収支を常に情報公開することが求められています。

震災前の石巻市でのNPOを含む市民活動団体の数を、石巻市NPO支援オフィス(以下、支援オフィス)への登録団体数で見てみると以下のようになります。

支援オフィスは石巻市がNPOや市民活動団体の活動支援のために平成14年に設置され、開館当初から「NPO法人いしのまきNPOセンター」が市から委託を受けて管理運営をしてきました。開設した当初は40団体が登録され、年毎に登録団体数は緩やかに増えてきましたが、東日本大震災の後には登録団体数が急増しました。震災後に活動を始めたNPOには、支援オフィスに登録しないで活動する場合も多く、実際には石巻市内で活動しているNPOの数はもっと多いと思います。県外から支援にきた方々がNPOを立ち上げる事例が目立ちますが、地元の市民が立ち上げたNPOも活発に活動しています。被災が契機となり、地域課題に対し、行政に頼らず自ら活動することで課題を解決していく機運が生まれたように思います。被災後に起きた地域コミュニティの分散や応急仮設住宅での課題などが大きく報道され、市民として身近な課題として捉えられるようになったことも大きいと思います。そんな課題に対し、NPOがいろいろな取り組みを通して解決策を模索しています。

上記のような課題は、この地域特有のものではなく、全国の地方都市や農魚村集落が抱えている共通の課題でもあります。被災地「石巻市」では地元住民だけではなく、市外から被災者支援で入って来た人たちも一緒になり、様々なアイディアと活動で地域課題の解決を図っています。

このような取り組み方は、これからの日本社会が直面していく課題解決の先進事例なのかもしれません。その活動に取り組むNPOは「震災前より良い石巻をつくる」という「社会的使命」を持って、現在も市内各所で活動を続けています。

特定非営利活動法人 いしのまきNPOセンター
専務理事 四倉禎一朗

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