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いよいよ今週末から「リボーンアート・フェスティバル」が始まります(7月22日~9月10日)。牡鹿半島の荻浜や鮎川を中心に、市街地でも多くの現代アート作品が展示され、地域色豊かな食材を使った料理も楽しめます。
今月の特集は、実行委員会事務局のメンバーとしてご活躍されている松村 豪太さんと杉浦 達也さんをお迎えして、この大イベントの魅力を存分に語って頂きます。

開幕前のお忙しい時にお集まり頂き、ありがとうございます。先ずは「リボーンアート・フェスティバル(=RAF)」とはどんなイベントなのか?を聞かせてください。

松村:ひと言で言うと、現代アート・音楽・食の総合祭です。地方型芸術祭とも呼ばれています。実行委員長の小林武史さんが率いるAP BANKは、震災直後から石巻を中心に被災地支援を行っていました。お金や食料を届けるだけでは復旧にしかならない、被災地を活性化し、真の意味で復興させるためには何が必要なのか、考え続けていました。

RAF実行委事務局長   一般社団法人ISHINOMAKI2.0 代表理事 松村豪太さん

そんな折、2012年に新潟の十日町市、津南町で開催されていた「大地の芸術祭」を視察に行った際に、地方型芸術祭のコンセプトを石巻圏の被災地に根付かせ、3年ごとに継続して開催することで、復興を加速させ持続的な地域づくりのためのイベントとする事を思いつきました。その後、県や各自治体に趣旨を説明して回り、賛同者を得るための声がけを始め、2015年7月に実行委員会が結成されました。

なぜ、牡鹿半島での芸術祭なのでしょうか?

松村:これは小林さんの言葉なのですが、復興には光と影があり、例えば復興事業により活況を呈する仙台を光とするならば、震災による人口減少が著しい牡鹿は影です。その影の部分に光を当てていきたいと考えました。牡鹿には美しい景観や地場の魅力的な食材などを含め、独特の面白さがありますが、全国的には知名度は低い。このイベントを通じて、多くの人に牡鹿半島の魅力を知ってほしいと思います。

RAF事務局 一般社団法人 サードステージ 代表理事 杉浦達也さん

杉浦さんのご実家は牡鹿だそうで。

杉浦:私は牡鹿半島に住んでいませんが、亡くなった両親の実家が牡鹿半島にあります。RAFという素晴らしいきっかけを活かし、活かされるため、地元の方々が積極的に関わってくれる事が大切だと思います。初めて牡鹿半島を訪れた方々が「また帰ってきたい!」と思ってくれるような仕組み作りが大事です。

では、具体的なイベント内容を教えてください。

松村:石巻の中心市街地と牡鹿半島の桃浦・鮎川・荻浜をメイン会場として開催されます。牡鹿半島は殆どの展示が野外で行われ、街なかは屋内会場が多いです。お客さんにはパスポートを買って頂き、各会場の展示作品を見て頂く形になります。また、荻浜小学校は、地域で表現活動をしている人たちの会場となります。現代アートなので、ただ見るだけでなく体験型、参加型の作品もあります。

杉浦:今日は荻浜小学校で展示の準備をしてきたのですが、今回の為に集まってくれたアーティストと地元に暮す地域の方々が一緒に会場の掃除をしていて、さながら合宿所のようでした。一緒に掃除して、食事をして・・といった活動を続けていく内に関係性が密になり、大変良い雰囲気になっています。地元の方とこのために来てくれた方が集まり一緒に何かをつくりあげる・・というのが、とてもいいですよね。

お話を伺っていると、RAFの開催は牡鹿半島に様々な影響をもたらすと思われますが、最も期待しているところを聞かせて頂けますか?

松村:経済効果を生み出すことが、やはり大切ですね。小林武史さんは「自創(じそう)」という言葉を使っているのですが、外からの力をもらいながら地域の人たちが自分ごととしてやっていかないと、継続にはつながりません。そのためにも、地元に経済的な利をもたらしたい。実際、イベントの準備の段階で、地域の雇用を創出する機会が出来ています。イベントが始まったら、交流人口が増えることで観光産業の活性化につながるでしょう。また、地場の食材を評価してもらうことで、より高い価値を持って流通することが出来るようになると思います。

杉浦さん達はイベント周知のため、各浜で一件一軒訪問して挨拶をしながらチラシを配っているそうですね?

杉浦:当初、住民の皆さんは「一体、何が起きるのだろう?」といった不安のほうが大きかったように感じましたが、最近は楽しみにしてくれる人が増えてきました。市外・県外から牡鹿半島を訪れた人に対して挨拶や声掛けを通して少しずつ関わりを持ち、関係性を作っていければ持続につながるように感じます。今回、アート作品を置かない浜でも、提供する料理にその浜の食材を使用したり、様々な形でも関われる様考えています。

今回の開催には、地元NPO団体も数多く関わっていると思います。彼らも含め、石巻圏域のみなさんにメッセージをお願い致します。

松村:首都圏の人たちがもたらしてくれるイベントとして石巻が盛り上がるのではなく、地域で生業をしている人、住んでいる人、そしてNPO団体など様々な立場の人たちが関わることが大事です。そうじゃなきゃ、このイベントは成り立ちません。多様な人たちが参加し、一緒に創っていくお祭りにしなければならないと思います。

杉浦:震災後、牡鹿半島のみならず、圏域被災地には多くの方が支援のため訪れ、あらゆる角度からたくさんのきっかけをもたらしてくれました。それに感謝しつつ、NPO団体等にもできることから関わってもらえたらと思います。
一緒に楽しみ、また一緒にやりたいと思ってもらえたらうれしいです。

松村:今回、運営ボランティア、サポーターのチームとして「こじか隊」を結成しました。彼らには単なるボランティアに終わることなく、RAFを通じて様々な出会いや体験を楽しんでもらい、地元の文化について学んでもらう機会にしてほしいと考えています。ぜひ多くの市民の方に、こじか隊に参加して頂きたいですね。現在、旧港湾病院の建物がこじか隊の活動拠点となっており、運営には地元の社会福祉法人の方たちに手伝ってもらっています。その福祉団体が支援する障害のある方や、漁業の方、NPOなど様々な立場の人が関わることで、いい意味での「ごちゃまぜ」になればいいと思います。

杉浦:「未来の自分に出会う場所」として、RAFは心を動かすきっかけを作っていけるのではないかと思います。地元の人間として、覚悟を決めてやっていきますので、地域の方々にも積極的に楽しんでもらえたらと思います。

お二方ともお忙しい中、ありがとうございました。開催を楽しみにしています!

2020年、最大被災地・石巻が輝くためには? 

現在の石巻圏の活況は復興事業の特需で支えられていて、「その後」については悲観的な見方をする方が多いように感じます。同じように、石巻市の財政も国からの復興交付金で大幅に膨らんでおり、その予算執行と短期間での事業実施ため、職員数を大幅に増やしている事が不安材料になっているのかもしれません。

今回は、行政、民間の双方からキーパーソンをお招きし、市の復興基本計画の最終年度となる2020年以降、石巻市が全国に誇れる復興モデルとなるには何が必要か、をお聞きします。

先ずは石巻市 復興担当審議監の佐藤 茂宗さんをご紹介いたします。先日の「第5回NPO連絡会議」では、市とNPOとの協働についての講話を頂きました。審議監は総務省から出向されているそうですね。

石巻市復興担当審議監 佐藤茂宗さん

佐藤:昨年の6月から石巻市役所内に机を置かせて頂いています。こちらに来て、ちょうど一年になりますね。震災前より良いまちをつくる「創造的復興」を成し遂げるため、市長のバックアップやマンパワー不足の解消等を担っています。総務省から内閣府に出向した際は、改正NPO法(注2)の運用とNPOをより設立しやすくするための改正にも関わりました。

木村 美保子さんは、イオンモール石巻などで複数の飲食店を経営されているビジネスウーマンです。同時に、いしのまきNPOセンターの副代表を務めるなど、市民活動にも熱心ですね。

(株)ゼンインターナショナル代表取締役 (特非)いしのまきNPOセンター副代表理事 木村美保子さん

木村:NPOに関心を持ったのは石巻青年会議所(JC)に所属していた頃で、全国的にもNPO活動を通じて市民参加型社会を実現しようという機運が生まれてきた頃でした。佐藤審議監は改正NPO法に関わったとのお話しでしたが、私の時代はそこから13年程遡って、平成10年、議員立法として最初のNPO法(注1)が制定、施行された頃です。あ、年齢がバレますよね(笑)

 

審議監、石巻市役所に身を置くことで見えてきた課題についてお聞かせください。

佐藤:市の現状をお話ししますと、東日本大震災以降の復旧、復興事業のため、人やお金を平常時には考えられない規模で投入しています。今年度の一般会計予算1,891億円の7割近くが復興関連です。職員数は同規模の自治体と比較すると1.6倍の人員数なのですが、それでも職員の皆さんは業務で忙殺され、残業も非常に多く、疲弊した状態が続いています。
この状態のままでは、復興事業に一区切りがつく2020年度以降、つまり「平常時」に戻ったとき、様々な弊害が起こります。

先日の講話では、「平常時へのソフトランディング」が課題になると指摘されましたよね。

佐藤:如何に人やお金を平常時の適正な規模に落ち着かせるかが重要です。市役所の業務を抜本的に効率化する必要があり、そのためには公共施設の指定管理など、NPO等への業務委託や民営化導入を徹底して進めていく・・そのような業務改革を行う事で、市職員の力を創造的復興や地方創生、また、先日の連絡会議のテーマである「行政とNPOの協働の推進」のためにシフトさせたいですね。

協働のパートナーとしてのNPOの魅力は何でしょう?

佐藤:一つは、特定の分野について専門性があり、自らの責任でスピーディーに課題解決に取り組める点です。行政は議会承認が必要であるとか、何かと意思決定に時間がかかる。NPOと行政が協働することにより、行政が単独で事業を行う以上の成果を得られると考えます。
もう一つは、NPOはボランティアの参加や寄付などを通じ、広く市民を巻き込んで活動しており、市民が力を合わせて課題を解決することが可能です。NPO活動に参加や支援をする市民にとっては、地域の課題がより身近なものとなり、当事者意識や共助の意識が高まる。それが地域力、市民力を底上げするものだと思います。

木村さん、NPO側の立場としては、今のお話をどのように感じましたか?

木村:NPO側もその期待に応えられるよう、各々の団体、スタッフが常にスキルアップを図り、法令遵守を徹底して、行政や市民から信頼を得る努力が必要ですよね。
行政との協働については、合併する前の石巻では割と出来ていたと思います。何より、職員の方との距離が近く、顔の見える関係づくりが出来ていたし、協働を推進するための中長期計画も作られました。その後、広域合併と震災が起きて・・審議監のおっしゃる通り、今は職員の皆さんがすごく忙しそうで、近寄り難い雰囲気ですよね。

6月1日に開催された「第5回石巻市NPO連絡会議」では、佐藤審議監がNPO団体と市職員に向けて基調講演を行いました

佐藤:持論として、市職員の皆さんにはもっと外に出てもらって、地域のコンサルティング機能を果たしてほしいと思っています。住民自治を実現するため、当事者となる住民の相談役となりバックアップしてほしい。また、市職員自らがNPOを立ち上げたり、ソーシャルビジネスを興すのもいい。これからは中長期的な観点で市役所を運営していく経営感覚が必要なので、NPO等民間から学ぶことは多いと思います。

木村:若手職員の研修の一環として、NPO団体のスタッフをやってみるのもいいと思いますよ。何より、地域課題がはっきり見えてくるし、民間と交流することで、新しいアイディアが出てくるかもしれない。今は忙しそうなので難しいとは思いますが、ぜひ実現してほしい。

また、町内会や自治会の会長職って、市役所OBの方が担っているケースが多いですよね。事務処理能力が高かったり、行政との関係性が担保できたりといった理由だと思いますが、このようなOBの方がNPOのスタッフとしても活躍してくれれば、すごくいいと考えています。「協働の推進」のためには、最も適した人材だと思いますよ。

木村さんは企業経営者でもあるので、復興事業終了後の雇用や人材確保については、危機感を持っているのでは?

木村:最近、特に気になるのが、各中学校の成績上位の生徒が仙台の高校に進学するケースが増えていることです。地元を愛する気持ちの醸成って、高校生くらいからでしょう? 中学卒業と同時に石巻を出て、仙台の高校や東京の大学に進んだら、「地元愛」無いまま大都市圏で就職しますよね。となると、石巻に戻る理由がない。優秀な人材の確保がまずます難しくなっていくような気がします。

佐藤:でも、最近の若い世代は、大企業で仕事に追われ時間に余裕のない生活をするより、多少収入が低くても、地方で楽しく自分の時間を大切に暮らしたいという人も多いのでは? そのような価値観を持つ方を、石巻に引き付けたいですよね。そういう意味で、今回の連絡会議での市とNPOが協働し実施している移住・定住促進の事業の報告は、興味を持って聞かせていただきました。

木村:石巻って被災して様々な問題が顕在化した分、ソーシャルビジネスを興すには適した場所なのかもしれませんね。

佐藤:そこをもっと若い世代にPRすべきですよね。「石巻と言えば、チャレンジしやすいまち」とか。市の政策も「あれもこれも」では人とお金に限界がありますし、PR効果も薄れていくので、例えば、若者の起業支援や子育て支援に絞るなどの「あれかこれか」の選択と集中が必要ですね。

木村:それにしても、今のうちに、若い世代が活躍できる場や仕事を作る必要があるますよね。そのためにも官民が連携することが必要ですね。行政側とNPOや地元企業など民間側が非公式に集まって、このような問題を気軽に話しあえる場があるといいですよね。飲み会なら、なお良しです(笑)

佐藤:同感です(笑)顔の見える関係性づくりが大切ですからね。

2020年、石巻市では官民の協働が進んだことで、素晴らしい復興が成し遂げられました・・・と、この新聞に大きく書きたいですね!

お二方とも大変お忙しい中、ご出席ありがとうございました!

 

※1 特定非営利活動促進法(NPO法)

平成10年3月制定、同年12月施行。市民が行う社会貢献活動を推進するため、特定された17種の公益活動(まちづくりや環境保全など・現在は20種)を行う非営利団体が法人格を取得できるようにした。法人になることにより、団体は契約行為(団体名義での賃貸契約や口座の開設)が可能になった。

※2 改正特定非営利活動推進法(改正NPO法)
東日本大震災直後の2011年6月に、NPO法が大幅に改正、翌年4月に施行された。認証・認定期間が各都道府県・政令市の所轄庁に移管され、仮認定(認定NPO法人への移行期間)も制度化された。

行政・市民・NPOが「協働」するまちづくり

1990年代以降、新しいかたちの市民活動としてNPOが社会に認知され始めた頃から、行政と市民の関係に「市民参加」や「協働」という言葉が使われ始めました。市民側、NPO側、行政側ともに、まだまだ協働を理解していないケースも多く、お互いのコミュニケーション不足や、適切な情報が不足している状況は現在でも続いています。今回は、「協働」をテーマに考えてみました。 

【行政とNPOの協働】
  「協働」を簡単に定義すると、共通課題の解決や目的の実現のために、お互いの持っている力と資源を活かして相乗効果を得るためのプロセスと言えるでしょう。

ではなぜ、協働が求められるようになったのでしょうか、よく言われるのは「ニーズの多様化」と「自治体の財政難」ですが、もう少し掘り下げてみます。

市民側から見ると、市民と行政の関係が変わり、市民が公共政策に関与することができるようになったこと、社会がより複雑化、高度化することにより、人々の求めているものが変化してきたこと、市民の力が増し、NPOが社会の中で一定の影響力を持つようなってきたことなどが挙げられます。また行政側から見ると、自治体の財政難による組織の行革が迫られたこと、地方分権の流れが、権限の移譲へと繋がったこと、そのことが行政とNPOの協働へと繋がったと言えます。

【市民参加・協働の多様性】
協働をNPOと行政の関係だけで捉えるのではなく、市民を含めた三者の関わりから見ていくと、協働の多様性が理解できます。

まずは意思決定への市民参加が様々に制度化されて

きたことであり、事例として広聴やパブリックコメント、公募委員、ワークショップなどが挙げられます。次に行政主催の事業への市民やNPOの動員や協力依頼などがあります。そして、実行委員会方式による事業実施があり、この手法は市民参加の実践の場として官民双方にとって有意義であり、使いやすい手法と言えます。

新しい協働として注目したいのが、NPOとの協力・連携・協働事業です。実務的には指定管理制度・委託・補助金などが活用されていますが、行財政改革の波と共に、この領域は一気に広がりつつあります。また地縁組織(町内会、自治会など)も新しい地域課題に積極的に取り組む機運も生まれ、これまでの行政との協働関係も見直されつつあります。

【これからの協働のありかた】

これまでは、NPOと行政の協働と言うと1対1の業務・責任分担のことが多く語られましたが、これからの協働の関係は、多様な主体による協働へ移っていくと考えられます。市民側のNPOはもちろん地縁組織(町内会、自治会など)や関係機関も含め、行政側もすべての部署・業務が、よりよい成果を得るために協働に取り組むことが求められています。

特定非営利活動法人いしのまきNPOセンター
副代表理事  木村 正樹

地域に貢献するNPOをみんなで支える

昨年5月から毎月「いしのまきNPO日和」をお届けするようになり、今号で第12号となりました。発行のきっかけは、石巻圏域には地域課題の解決の為に多くのNPOが活動していますが、市民の方々にとっては、NPOが何処で、どのような活動をしているのかを知る機会も少なく、そもそもNPOとはどの様な団体なのか、知る機会を提供しようということで始まりました。

月に一度の発行とはいえ、石巻日日新聞にこれだけのスペースを提供して頂くので、発行するための費用もかかります。「いしのまきNPO 日和」の場合は、下記の欄にある地元企業の皆様にスポンサーとして広告を出して頂き、費用を賄っています。小さな試みですが、「地域に貢献するNPO を地元企業が支える」という理想に向けての一歩と言えます。

【NPO の活動資金について復習しましょう】
NPO(Non―ProfitOrganization )は「非営利の民間組織」と訳されるため、「非営利= 無償ボランティア」と捉える方も未だに多くいますが、決してそういうことではなく、普通の企業と同様に有給のスタッフを雇用し、活動拠点( 事務所)を構え、団体が掲げる目標を実現するための活動資金も調達しなければなりません。

従来からN P O の活動資金源として、以下の4つが挙げられています。

○ 会費: 会員( 構成員)から毎年( 毎月)継続的に支払われる収入。
○ 補助金・助成金: 自治体や民間助成財団などから事業に対し交付される収入。対象期間は単年度が多く使徒の制約もあります。
○ 事業収益: 物品販売、サービス提供、労務提供などにより得る収入( 行政などからの委託事業も含まれます。)
収益を目的とする事業を行うことは認められていますが、事業で得た収益を配当のように構成員に分配することはできず、得られた収益は公益事業等への再投資に充てる事となります。

○ 寄付金: 団体またはその事業の趣旨に賛同して寄せられる寄付金収入
「いしのまきNPO 日和」発行の為に、地元企業スポンサーから提供頂く資金は、企業側にとっては「広告宣伝費」ですが、間接的に地元NPOの活動を支えるための「寄付」になっています。

【「寄付金」について考える】

「大切なお金を提供し、この団体の活動を支えよう」と、賛同者から寄付を頂くことは、大変価値のあることです。NPOの平均的な収入構成を見ると、事業収入が8割近くを占め、会費や寄付金収入は1割程度というところが多いようです。

寄付金収入の割合が多い団体は、それだけ多くの賛同者がいるということになります。NPO 法人の中でも認可基準が厳しい「認定NPO 法人」として認可されるためには、収入構成の2割を寄付金にする、3 , 0 0 0 円以上の寄付者の人数が年平均1 0 0 名以上いる、などの要件をクリアする必要があります。多くの市民から支持される活動か否かを測る場合、寄付者の数が基準のひとつになっているのです。

日本は欧米と比較して「寄付文化」が根付いていないと言われています。左記のグラフをご覧ください。NPO 先進国であるアメリカは、寄付総額が日本の60倍以上になっています。

また、個人による寄付が多いことがわかります。理由として考えられることは、・キリスト教による文化的な背景。「富めるものが貧しいものに分け与える」といった教義に則り、歴史的に寄付行為への意識が高いと思われます。フェイスブック創設者のザッカーバーグ氏が5兆円を寄付するなど、桁ちがいの事例もありますが、ごく一般的な市民の方も、地域のNPO や教会、学校に寄付するこ12とでその活動を支えています。( 寄付先は宗教団体が全体の30%を占める)

・寄付行為に有利な税制。寄附をすると所得から一定金額が控除されるという仕組みは基本的に同じですが、控除できる寄附金の指定先はアメリカが圧倒的に多く、日本の40倍以上となっています。日本では控除対象の寄付先として認められているのは、国や地方自治体、学校、社会福祉法人など限られており、NPOへの寄付の場合は上記にある「認定NPO法人」が該当しますが、認可基準の厳しさなどで団体数がなかなか増えていないのが現状です。

アメリカでは寄付者が寄付先をある程度自由に決めることができ、その額に応じて税金が控除されます。日本は控除対象となる寄付先は少ないですが、代わりに税金を使った助成金といった形で様々な公益団体の活動を支えていることになります。日本のやり方だと、特定の団体に寄付が偏るということはないのですが、寄付者が直接、団体の活動を支えているという実感が持てないため、積極的な寄付に至らない場合が多いと思われます。

日本でも「ふるさと納税」でお金を集める際に、特定のNPO を指定できる制度を取り入れている自治体も出てきています。先進事例としては、佐賀県が納税したお金の使い道として県内のNPO を指定することができます。佐賀県ではこの仕組みを武器に、全国のNPO団体を県内に集積させる構想もあるそうです。

【眠っている預金を活用】

NPOの活動資金源についての話題を、もうひとつ。昨年12月、金融機関に預金として預け入れたまま10年以上出入金がなく、預金者への連絡も取れなくなっている「休眠口座」を、公益活動の財源にする法律「休眠預金活用法」が制定されました。毎年1千億円近く発生する休眠預金のうち、500億円あまりが配分先を決定する団体を通じた助成金や融資という形で、子どもの貧困対策や若者支援、地域活性化に対して活動するNPO や自治会などへ提供されます。実際の運用までは時間がかかりそうですが、NPOにとっては心強い資金源になりそうです。

「ふるさと納税」や「休眠預金」は、石巻圏域で活動するNPO や市民活動団体にとっても新しい資金調達の可能性を秘めています。大切なことは、NPO や市民活動団体が地域に貢献できる活動を継続して行い、透明性のある団体運営をすることで、市民の方々の信頼や共感を得る事ではないでしょうか。

市民の方々が寄付という資金提供や、ボランティアという労力提供というかたちで、地元NPO を支える機運が醸成されていくことに繋げていくことだと思います。微力ながら、この「いしのまきNPO 日和」や「石巻市NPO 連絡会議」の取り組みが、その一翼を担えるように頑張っていきます。

特定非営利活動法人 いしのまきNPOセンター
専務理事  四倉 禎一朗

【市とNPOと地域が一緒につくる「子育てしやすいまち」11】

今回の特集は、「子育てしやすいまち・石巻」をつくるための市とNPOの協働について考えてみます。震災により人口流出が加速化した石巻市の将来を考えたとき、子育て世代の定住や流入のため「子育てしやすいまち」としての魅力発信が不可欠になると思います。今日は子育て支援NPOから、お二人の代表の方に来ていただきました。

荒木:NPO法人ベビースマイル石巻の荒木です。マタニティから未就園児の母子に対し、切れ目のない支援を行っています。
柴田:NPO法人にじいろクレヨンの柴田です。震災直後の仮設住宅での子どもの居場所づくりから始まり、民間の児童館運営や復興住宅での子ども子育て支援を行っています。 

石巻市役所福祉部から、道家課長にお越しいただきました。今年度から子育ての担当課は「子ども保育課」と「子育て支援課」に分かれましたね。

道家:「子ども保育課」は、主に保育所や放課後児童クラブ等に関する業務を担い、私が担当する「子育て支援課」は子育て支援策や子育てしやすい環境づくりのための業務を担っています。 

国の施策として「子ども・子育て支援新制度 ※1」が施行され、もうすぐ2年になります。新制度では、自治体による地域の子育て支援拠点の設置が求められています。
道家:石巻市では現在、地域子育て支援拠点事業として、本庁管轄には委託業務を含め4か所と各総合支所6か所、合せて10か所の支援拠点を設置しています。
荒木:市から地域子育て支援拠点事業を受託し、拠点として蛇田の土和田にて「マタニティ・子育てひろば スマイル」を運営しています。
柴田:同じく市からの事業委託で、大街道にある「千の杜学びの」にて子育て拠点「にじいろひろば」を運営しています。
荒木:日々の活動から見えてきた問題として、子育てママが孤立して、子育てを負担に感じてしまう傾向があります。同じような仲間が集う居場所があり、話をすることができれば解決するようなケースが多いように感じます。
柴田:特に転勤族の方は周りに知り合いもいないし、一日中、赤ちゃんと二人きりで孤立したような状態になります。そういった方がうちの施設を調べて、わざわざ来てくれるケースもあります。何度かいらっしゃるうちに同じようなお母さん同士の繋がりが生まれ、初めて来た時より顔つきも穏やかになっていきます。

子育てに関しては、行政とNPOとの協働体制が既にできているように感じます。

道家:平成27年度に「子ども・子育て支援新制度」が施行され、地域子育て支援拠点事業の民間への業務委託が3か所になりましたが、この年の親子教室・遊びのひろばの利用実績は、前年度に比べ一万件ほど増えています。そこは、やはりNPO等民間団体の力によるものと感謝しています。
今年度は、初めて行政とNPO等子育て支援団体との懇談会を開催しました。民間団体が出来ること、行政が出来ることの役割を共有しながら、子育て支援について考えていく場となっています。

「地域で子育てを応援する」ということに関して、石巻市は未だ十分ではないような印象ですが・・

柴田:震災前は「子育てに対して閉鎖的」なイメージがあったかもしれません。しかし、日々の活動を通じて感じるのですが、最近は石巻に対し「子育てがしやすく、繋がる先がある」というイメージを持つお母さんが増えています。そのように地元にプラスのイメージを持った親たちが、将来、我々のような団体を支えるサポーターになってくれるのだと思います。
道家:少子化で子どもの数は減っていますが、児童扶養手当の給付状況から、ひとり親世帯数は横ばいであることがわかります。ひとり親で子育てするのは本当に大変だと思います。地域で子育てを応援する環境が整うと、より子育てしやすくなるだろうなあと思います。

市役所2階にある子育て支援課の窓口には、「子育て世代包括支援センター ※2」の看板が掲げられています。

道家:この事業は、昨年11月からスタートしました。妊娠・出産・子育てに対して切れ目のない支援を行うワンストップ窓口です。就学前を対象として行っている自治体が多いのですが、石巻市では18歳までの子どもとその保護者を対象にしています。
今回、より親しみやすく相談しやすい窓口にするため、「いっしょ・Issyo」という愛称をつけました。子育てに悩んでいる人、困っている人に「いっしょに考え、いっしょに歩んでいくよ」との思いを込めました。どこに相談してよいのか迷っているなら、先ずは「いっしょ・Issyo」に相談してみてください。

荒木:当団体も受託団体として、子育て相談窓口を担っています。親にとっては、幼児期だけでなく、継続して相談できる場があるということは、とても心強く感じると思います。いろいろな支援、サービスがあっても、知らなかったり、使い方が分からなかったりすることも多いので、「いっしょ」では必要な方に的確に繋げられるようにサポートしていきたいですね。

それでは、今後の活動についての抱負をお願いいたします。

荒木:「子育て世代包括支援センター・いっしょ」は、お母さんたちのニーズに対応した支援を紹介していきますが、繋ぎ先のない問題も出てくると思われます。その問題の背景について考え解決できるような、繋ぎ先を自ら作れるような活動にしていきたい。そのためには地域の方々の協力が不可欠です。それが住みやすいまちづくりにもつながると思います。子育てを通じてまちづくりをリードし、皆の力で石巻を元気にしていきたいです。
柴田:一昨年、子どもの権利条約フォーラム石巻の開催に携わりました。子どもにも、何かを創造したり歌ったりといった表現活動の自由が保障されているということを、実践を通じて社会にアピールしていきたい。避難所や仮設住宅で会った子どもたちは、その自由が制限されていた。子どもも一人の人間として尊重させるべき、ということを伝えていきたいですね。
道家:石巻の子育て支援団体の皆さんは、本当に心強いです。子育て支援の第一歩は、お母さん、お父さんをどう支えるかです。親を支えることで子どもに与える影響も変わってきます。NPO等子育て支援団体との協働で、より子育てしやすいまちを目指したいと思います。

年度末のお忙しい中、ご出席ありがとうございました!

 ※1 子ども子育て支援新制度
H24年8月施行の「子ども子育て支援法」では、子育てへの支援給付とともに自治体が主体となった支援事業の実施が定められています。それを基にH27年度から施行された「子ども子育て支援新制度」により、自治体は地域の子育ての実状や支援ニーズを把握し、5ヶ年の事業計画策定と実施が求められるようになりました。

※2 石巻市子育て世代包括支援センター
未来の石巻市を担う子どもたちを安心して産み・育てることができる環境にするため、市役所二階・福祉部子育て支援課内に総合窓口を設置するとともに、ベビースマイル石巻(石巻市蛇田土和田19-11)及び各総合支所においても窓口を設置しました。

2月1日(木)石巻総合福祉会館みなと荘を会場として、第7回石巻市NPO連絡会議が開催されました。今回は29団体52名、オブザーバー4名、市役所からは14名の各担当課職員が参加しました。

初めに、佐藤茂宗石巻市副市長より「石巻市の課題と対応策」というテーマで基調講演。グループディスカッションでは「市とNPOとの協働~お互いの強みを活かす」をテーマに、まちづくり、福祉、子育て・教育、交流人口 の四つの分野ごとに6テーブルに分かれ、市各担当課職員も参加し、それぞれの組織・団体の「得意」「不得意」を挙げてもらい、それぞれ話し合いました。

NPO側からは得意面では「活動の幅を広げやすい」「子どもや地域の声を身近に聞くことができる」、不得意面では「資金・収入が安定しない」「情報発信・広報が苦手」などの意見が聞かれ、市職員からは得意面では「信頼性が高くなる」「市民全体に事業展開ができる」「公平・公正な市民サービスができる」、不得意面では「決済が下りるまで時間を要する」「異動が多い」などの意見が多く聞かれました。 

お互いの得意・不得意を共有することで、NPOと市役所の協働がより具体的となるきっかけとなりました。

平成29年10月5日(木)第6回石巻市NPO連絡会議を開催いたしました。

今回は、33団体51人とオブザーバー4人の参加でした。

基調講演として「石巻の未来を見据えたNPOへの期待とマネジメントのポイント」として、「復興」から「日常」へ、持続可能な財源・人材の確保を中心に、という内容で、復興庁参事官の武隈義一様と、復興庁復興推進参与の田村太郎様からお話をいただきました。

グループディスカッションでは、復興期間が終了する2021年3月末、自分たちの活動がどのように展開していくのかを社会情勢と照らし合わせて想像しながら、これからやらなければならないことや新たな協働の形などについて再確認していました。

 

今回は、活動分野にとらわれないグループでディスカッションしたことにより、新たなつながりも生まれました。

 

 

 

 

 

平成29年6月1日(木)第5回目となる全体会を行いました。
石巻市の各担当課のみなさま、連絡会議に登録している30団体、またオブザーバーとして復興庁からも6名のみなさまにご参加いただき、約70名が参加しました。

石巻市復興担当審議監の佐藤茂宗様より「復興からのソフトランディングとNPOとの協働」という基調講演を賜り、その後、石巻市との協働事例報告を行いました。

 

 

コンソシアーム ハグクミ、(特非)ベビースマイル石巻、(一社)石巻じちれん、(一社)ウイアーワン北上、ビジターズ産業ネットワークから、協働している事業内容や、協働を維持するためにどのような工夫をしているのかなどを発表していただきました。

 

その後活動分野別のグループディスカッションを行いました。

 

1月21日、みなと荘にて「第4回 石巻市NPO連絡会議」が開催されました。参加29団体を「まちづくり/福祉/子育て・教育/観光振興」の4つのグループに分け、それぞれ市役所の担当課職員を交えたワークショップは、前回から2度目の実施となります。今回は石巻市版地方創生計画「まち・ひと・しごと創生総合戦略」について、各団体と市職員が協働の可能性を話し合いました。また、各グループの進行を、県外から来た経験豊富なファシリテーターが担いました。

第4回 全体会 (1280x851)了後のアンケート調査の結果によると、NPO側、市役所側双方から「有意義な機会であり、継続を望む」「課題解決に向け、具体的な議論ができる場になってほしい」などの意見を頂いています。今後は市役所のみならず、市議会や地元企業とも連携の場を持ちたいと考えています。

9月24日(土)「第3回石巻市NPO連絡会議」が、みなと荘で開催されました。
今回はNPOと行政の協働を考える場として、参加した29団体が活動分野ごと4グループに分かれ、石巻市の各担当課とワークショップ形式で話し合いを進め、現在の活動内容や課題を共有し理解を深め合いました。

これまで市役所とNPOが顔を合わせて話し合いを持つ機会がほとんどなかったため、とても有意義な集まりになったというお話も双方からいただきました。
石巻市NPO連絡会議では、今後も行政とNPO等市民団体が協力して地域の課題を解決していけるよう、より具体的で活発な話合いができる場を作りたいと思います。rekuraku3