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2011年5月、自宅の傍の大きな公園で仮設住宅の建設が始まり、程なくプレハブの団地が完成しました。当初は自宅を失った方の大変さに思いを馳せることも多かった私ですが、 5年半経過した今はすっかり日常になじんだ風景となってしまい・・・

このような仮設住宅は市内134か所に7000戸以上建設されました。家を失った方の生活再建を急いだが故、入居の際は震災前のコミュニティは考慮されず、孤立する方が多くでるのではとの懸念が当初からありました。

もちろん、当の住人たちも危機感を持っており、「仮設住宅での孤独死を無くそう」を合言葉に、各団地が問題や情報を共有できるような自主組織を作り始めました。震災の年の12月5つの仮設団地が集まり「石巻仮設住宅自治連合会」を発足。その後、行政や社会福祉協議会、支援団体を加えた連合推進会(石巻仮設じちれん)となりました。

今年1月には法人格を取得し「一般社団法人石巻じちれん」として、復興公営住宅のコミュニティ形成支援へシフト。未だ多くの方が住む仮設住宅への支援は「石巻仮設じちれん」が継続して担当しています。イオンモール傍の公営住宅が並ぶ新しい街の事務所を訪ね、会長の増田さん、事務局長の内海さんにお会いしました。自らも被災し住居を失いながら、仮設のコミュニティ形成のために自治連合組織の運営を続けてきたお二人。被災者が被災者のお世話をすることは、自分を抑えて不平不満を聞く側に回ることもあり、精神的にも大変だったと思います。実際、自治連合会の会議も、当初は入居した方が苦情を述べる「ガス抜き」の場になっていたことも。そんな役回りを引き受けたのは、震災前から町内会などで地域コミュニティにかかわってきたからと思いきや、決してそうではなかったとの事。3代目の会長となった増田さんからは「多くの方がなくなった地元で自分が生き残ったのは、被災者のために働くことを課せられたからであり、だから続けている」とのお話を頂きました。

復興公営住宅や自立再建の住宅の整備が進むに従って、仮設住宅を後にする方が増えており、石巻じちれんも活動の対象を公営住宅にシフトしています。公営住宅は仮設住宅のように隣の物音がうるさいといったようなことがなくなり、快適になった分、部屋に籠りっきりになる住民が増えると思われるからです。現在は毎朝のラジオ体操やイベントの開催で、住民交流の輪を広げています。今年の夏は新蛇田地区での盆踊り大会を企画、そこで嬉しい出来事が。公営住宅エリアの住民と住宅再建エリアの住民、それぞれ盆踊りを計画していたのですが、同じ日、同じ場所になってしまい・・・そこで合同で実行委員会を立ち上げ、総合が交流を重ねながら盆踊りを開催しました。

法人化する際お二人は支援される側から支援する側に立つ事を強く意識したそうです。自らも住宅を失った被災者なので、支援を受けて当然という意識がどうしても抜けなかったそうですが、今後は仮設から災害公営住宅へ移る方々を自分たちが支援するというスタンスを明確にし、活動を続けることを決意しました。公営住宅団地での自治会設立のアドバイザーとして、また、仮設住宅の建設が始まっている熊本の被災地で、これまでの経験を伝える活動をして行きたいそうです。被災地のコミュニティ形成には具体性のある貴重な経験ですので、国内外で共有できれば素晴らしいと思います。

特定非営利活動法人 いしのまきNPOセンター
専務理事 四倉禎一朗

  根付き始めてきた活動
今回は、牡鹿半島で震災後に根付いてきたNPO活動を紹介したい。
8月上旬、JICAの事業でフィリピンの若手行政職員らが漁船に乗り込み、狐崎浜の養殖筏を視察した。漁師の方の案内で下記の養殖現場を和やかにも真剣に学んでいた。牡蠣の漁村では、東日本大震災以前に、こんな光景はなかっただろう。14963668_1127869943962688_1127621313_o

復活への思い
牡鹿半島の各浜では震災による津波で養殖筏などの施設が壊滅的な被害を受けた。各浜の漁協・漁師の皆さんは必至の作業にあたり、少しずつ復旧を進めていた。その時期、浜にNPO団体やボランティアが入ってきた。がれきの撤去から始まり、暗中模索の中、地域の人々とのつながりができ徐々に浜に根付いてきた。

新たな連携の流れ
牡鹿半島で支援活動をしていた各団体は、時間の経過によるニーズの変化に伴い、連携をとる必要性に気づき、協議を重ねてきた。その結果。昨年2月に一般社団法人おしかリンクが設立される。代表理事に犬塚恵介さん、専務理事にCafeはまぐり堂などを運営する亀山貴一さん、下記オーナー制度を手掛けるピースボートセンターいしのまきの山元崇央さん、理事には震災にも負けず復活を果たした割烹民宿めぐろ若旦那の目黒繁明さん、浜へ行こう!実行委員会などの活動をしている杉浦達也さんなどが就任。
震災前から牡鹿の地でがんばる方や、支援がきっかけでこの地に魅せられ活動を続ける方々が参加して、プラットホーム的な団体が作られた。
初めに紹介したJICAの事業受け入れも一例で、ワンストップ窓口として更にスムーズな分担ができるようになっている。

牡鹿半島の今後
一般社団法人おしかリンクの事務所を訪ねてみた。場所は荻浜の県道沿いにある佐藤商店跡地にある3坪ほどの仮設店舗「湾(ワン)ショップおぎのはま」。震災後、地域のためにと再開した佐藤商店さんが事情により、継続が難しくなり、おしかリンクが引き継ぎ運営している。

犬塚さんはこう語る。「この場所は地域の息抜きの場。さっきまでおじいちゃん14997007_1127869930629356_518322984_nが1時間くらい世話をしていました」確かに次々と浜の人たちが現れる。
訪れた漁師の武田達さんは「ここは地域のお茶っこの場。大事なところだよ」と語る。地域に根付くとはこの事だと思った。

おしかリンクでは現在、浜の高台の民家を借り協力者と共に古民家リフォームをし、交流の場を作っている。ちょうど高台の集団移転先の近くに位置し、様々な使い方が考えられる。更に、将来について犬塚さんは「もともと、浜には豊かな山畑があり地産地消されていた場所なんです。今後手に入らなくたった山を少しずつ綺麗にして、浜本来の姿を取り戻したい」と語る。NPOの力だけで進められる話ではない。しかし、地域に根付いた店や人とのつながり、そして点と点を結ぶネットワークが確実に変化を生み出していることは間違いない。牡鹿半島の今後が楽しみだ。

特定非営利活動法人いしのまきNPOセンター
理事  黒澤健一

 NPOのひと・もの・おかねの事情 

まだNPOを誤解していませんか

NPOとはNot-for-Profit Organizationの略ですが、直訳すると「利益を追求しない団体」と訳せます。市民活動団体という呼び方も一般的ですが、広く公益的活動を行う団体の総称として使われます。

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東日本大震災後は、NPOという呼称も一般市民にも認知されてきましたが、まだまだ誤解されることも多く、NPOは営利を目的としない組織だから、常勤スタッフもボランティアで働いているのか、事務所の家賃や事業活動費は市役所から出ているのか、など疑問や質問がいまでも受けることがあります。今回は、そんな疑問にお応えしながら「NPOのひと・もの・おかねの事情」を解き明かしていきます。(以下の数字は、内閣府の平成27年度NPO法人実態調査から抜粋しました。)

誰がNPOを動かしているのか

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法人の財政規模は、1000万円~5000万円が38.1%で、1000万円以下が35.6%になっており、調査法人の7割を占めています。法人で給与を得て働く常勤スタッフ(週28時間以上)は、多くが2~3名程度でした。活動に携わるボランティア数は15~20名程度で年間活動日数は10日未満が5割を占めています。

資金規模も小さく、常勤スタッフも少人数であり、携わるボランティアも団体によって異なるところもありますが、実態調査からは活動の大変さがうかがえます。

資金源は何か、4つのポケットがある

NPOはどこから収入を得ているのか、NPOの財布には4つのポケットがあります。

  1. 会費:多くのNPOは会費制を設けており、会員から毎年(毎月)継続的に払われる会費は安定した収入源の一つです。
  2. 寄付金:団体またはその事業に賛同して寄せられる、継続性のない一時的な収入で、使途の自由度は高く、団体にとり重要な収入源の一つです。
  3. 補助金・助成金:自治体や民間助成財団などから支給されますが、対象期間は単年度が多く、使徒の制約もある収入です。
  4. 事業収益:例えば物品販売、サービス提供、労力提供などにより得た収入のことをいいます。自治体などからの委託事業もここに含まれます。

収入構成の割合は事業収益(77.1%)補助金・助成金(13.9%)寄付金(4.2%)会費(2.4%)の順になります。事業収益の委託事業や補助金・助成金は、頼り過ぎると、継続的な活動を続けることが難しくなります。安定した資金確保ということでは、会費・寄付金を増やすことや事業収益の自主事業収入を増やすことが重要です。

NPOには経営が必要なのか

NPOがいう非営利とは、営利と対極にあるわけではなく、非営利は「利益を得てはいけない」という意味ではなく、「利益を追求しなくてもよい」だけなのです。それため状況に応じて事業活動と公益活動を柔軟に組み合わせて、社会的課題に挑戦していくことができます。

NPOが収入を得て利益をあげるというと違和感を持たれる方もいますが、NPOが継続して経営していくためには、組織の運営資金の調達だけではなく、次の活動のための投資的資金も必要です。最近の相談事例では、団体設立から2~3年目で初期の活動資金として頼っていた補助金・助成金が削減され、自立を求められる段階になり、新たな事業活動の展開に苦慮している団体が増えています。これからは資金調達ができる仕組みと、理事・スタッフにも経営感覚を持った組織運営が求められてきます。

特定非営利活動法人 いしのまきNPOセンター
副代表理事  木村 正樹

石巻圏のNPO ~被災者支援型から地域課題解決型へ

最近、国内で大きな災害が発生する度に「NPO」という言葉を聞く機会が増えた、という方は多いと思います。5年前の東日本大震災の時も、発災直後からNPOの活動について多くの報道がなされ、今回の熊本地震の被災地でもNPOなどの団体が復旧作業の一翼を担っています。

平成7年に発生した阪神・淡路大震災の時に、全国から多くの市民ボランティアが集まり被災者支援に活躍したことから「ボランティア元年」とも呼ばれています。ボランティアとは、自己を犠牲にして弱者を助ける人たちの活動というイメージを持ちがちですが、阪神淡路の被災地にやって来た人の多くは「普通の市民」でした。しかし、個々人の活動では限界があることが明らかになり、その反省から、ボランティア団体や市民活動団体の活動を促進するために「特定非営利活動促進法(通称NPO法)」が平成10年に制定され、その後の日本社会におけるNPOの活躍が期待されました。

NPOというと災害ボランティアというイメージを持つ方が多いのは、このような経緯があるからだと思います。被災者支援に限らず、NPOとは行政では取り組みにくい課題解決に繋がる活動やサービスを提供している組織をいいます。ボランティアのみで活動している訳ではなく、組織内には、普通の企業のように給料を貰いながら働くスタッフがおり、事業や経営にアドバイスを行う理事・役員などもいます。大きな違いは、企業は得た利益を出資者に還元するのに対し、NPOは組織の社会的使命の実現が優先され、得た利益は事業へ再投資しかできないということです。

東日本大震災では都市部に被害が集中した阪神・淡路大震災と違い、被害が広域に拡散したこともあり、行政のみで復旧、復興を主導することに限界があったためNPOなどの民間の力が活躍しました。行政の手が回らない部分、足りない部分をNPOが担い、その活動のために行政からの委託や民間の助成金などを活用し、きめ細かいサービスを提供できた事例も多く見受けられました。事業や経理面において不正や不透明がないように、NPOには事業内容や収支を常に情報公開することが求められています。

震災前の石巻市でのNPOを含む市民活動団体の数を、石巻市NPO支援オフィス(以下、支援オフィス)への登録団体数で見てみると以下のようになります。

支援オフィスは石巻市がNPOや市民活動団体の活動支援のために平成14年に設置され、開館当初から「NPO法人いしのまきNPOセンター」が市から委託を受けて管理運営をしてきました。開設した当初は40団体が登録され、年毎に登録団体数は緩やかに増えてきましたが、東日本大震災の後には登録団体数が急増しました。震災後に活動を始めたNPOには、支援オフィスに登録しないで活動する場合も多く、実際には石巻市内で活動しているNPOの数はもっと多いと思います。県外から支援にきた方々がNPOを立ち上げる事例が目立ちますが、地元の市民が立ち上げたNPOも活発に活動しています。被災が契機となり、地域課題に対し、行政に頼らず自ら活動することで課題を解決していく機運が生まれたように思います。被災後に起きた地域コミュニティの分散や応急仮設住宅での課題などが大きく報道され、市民として身近な課題として捉えられるようになったことも大きいと思います。そんな課題に対し、NPOがいろいろな取り組みを通して解決策を模索しています。

上記のような課題は、この地域特有のものではなく、全国の地方都市や農魚村集落が抱えている共通の課題でもあります。被災地「石巻市」では地元住民だけではなく、市外から被災者支援で入って来た人たちも一緒になり、様々なアイディアと活動で地域課題の解決を図っています。

このような取り組み方は、これからの日本社会が直面していく課題解決の先進事例なのかもしれません。その活動に取り組むNPOは「震災前より良い石巻をつくる」という「社会的使命」を持って、現在も市内各所で活動を続けています。

特定非営利活動法人 いしのまきNPOセンター
専務理事 四倉禎一朗

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東日本大震災から5年2ケ月が過ぎようとしています。震災からの復興に関しては、地域内外のNPOのみならず、全国各地から多くのボランティアが被災地石巻のために駆けつけていただきました。そのなかには、さまざまな活動分野の市民や団体が、その専門性や強みを発揮して復興に大きな力をいただきました。

これまでの5年間の復興への取組みから、これからを考えたとき、さらなるNPOの活躍と市民との協働を通したまちづくりを実現することが求められています。それには、これまで協力をいただいた多くのNPOの知見と能力を取り込み、新たな挑戦をすることが求められています。

石巻市内で活動しているNPOとボランティア団体に広く参加を呼びかけ「石巻市NPO連絡会議」(参加団体:70団体)を昨年10月に設立しました。この連絡会議は、参加団体間の情報交換や、団体同士が繋がる取組みを行う「ゆるやかな連携の場」となることを目指しています。

活動内容は、NPOやボランティア団体間の情報交換と連絡調整、交流・学習・研修などの事業も行っていきます。また、地元自治体などの関係機関との情報交換や連絡調整も行いながら、石巻地域のまちづくりに貢献していきます。

このたび、事業のひとつとして、NPOの情報発信と市民との協働を目指して「いしのまきNPO日和」を定期的に発刊することになりました。これから毎月、市民の皆様に石巻地域で活動しているNPOの活動紹介やイベント開催の情報をお届けしていきます。

これまで、個々のNPOからの情報発信だけでは弱かった部分をまとめることにより、市民の皆さんに、「いつ」・「どこで」NPOのイベントや事業が開催されているかが、ひと目でわかるようになります。この紙面の情報を通して、ひとりでも多くの市民の方がNPOと繋がることを期待しています。

特定非営利活動法人 いしのまきNPOセンター
副代表理事  木村 正樹

 

平成29年10月5日(木)第6回石巻市NPO連絡会議を開催いたしました。

今回は、33団体51人とオブザーバー4人の参加でした。

基調講演として「石巻の未来を見据えたNPOへの期待とマネジメントのポイント」として、「復興」から「日常」へ、持続可能な財源・人材の確保を中心に、という内容で、復興庁参事官の武隈義一様と、復興庁復興推進参与の田村太郎様からお話をいただきました。

グループディスカッションでは、復興期間が終了する2021年3月末、自分たちの活動がどのように展開していくのかを社会情勢と照らし合わせて想像しながら、これからやらなければならないことや新たな協働の形などについて再確認していました。

 

今回は、活動分野にとらわれないグループでディスカッションしたことにより、新たなつながりも生まれました。

 

 

 

 

 

平成29年6月1日(木)第5回目となる全体会を行いました。
石巻市の各担当課のみなさま、連絡会議に登録している30団体、またオブザーバーとして復興庁からも6名のみなさまにご参加いただき、約70名が参加しました。

石巻市復興担当審議監の佐藤茂宗様より「復興からのソフトランディングとNPOとの協働」という基調講演を賜り、その後、石巻市との協働事例報告を行いました。

 

 

コンソシアーム ハグクミ、(特非)ベビースマイル石巻、(一社)石巻じちれん、(一社)ウイアーワン北上、ビジターズ産業ネットワークから、協働している事業内容や、協働を維持するためにどのような工夫をしているのかなどを発表していただきました。

 

その後活動分野別のグループディスカッションを行いました。

 

1月21日、みなと荘にて「第4回 石巻市NPO連絡会議」が開催されました。参加29団体を「まちづくり/福祉/子育て・教育/観光振興」の4つのグループに分け、それぞれ市役所の担当課職員を交えたワークショップは、前回から2度目の実施となります。今回は石巻市版地方創生計画「まち・ひと・しごと創生総合戦略」について、各団体と市職員が協働の可能性を話し合いました。また、各グループの進行を、県外から来た経験豊富なファシリテーターが担いました。

第4回 全体会 (1280x851)了後のアンケート調査の結果によると、NPO側、市役所側双方から「有意義な機会であり、継続を望む」「課題解決に向け、具体的な議論ができる場になってほしい」などの意見を頂いています。今後は市役所のみならず、市議会や地元企業とも連携の場を持ちたいと考えています。

9月24日(土)「第3回石巻市NPO連絡会議」が、みなと荘で開催されました。
今回はNPOと行政の協働を考える場として、参加した29団体が活動分野ごと4グループに分かれ、石巻市の各担当課とワークショップ形式で話し合いを進め、現在の活動内容や課題を共有し理解を深め合いました。

これまで市役所とNPOが顔を合わせて話し合いを持つ機会がほとんどなかったため、とても有意義な集まりになったというお話も双方からいただきました。
石巻市NPO連絡会議では、今後も行政とNPO等市民団体が協力して地域の課題を解決していけるよう、より具体的で活発な話合いができる場を作りたいと思います。rekuraku3